職場でのいじめが違法行為に

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年4月

イタリアにおいて、職場でいじめを受けている者の数は、少なくとも75万人(被用者の4.2%)に達する。ただし、この数は過小評価されたものであり、顕在化していないものも含めれば150万人ともいわれる。この現象が初めて法科学的に研究され、「今日の職場いじめ、法的省察」として上院で組織された会議において検討されることとなった。提出された法律案は、憲法委員会の副議長であり弁護士であるルチャーノ・マニャルボ上院議員(国民同盟)の提案によるものであり、これまでに国会に提出された多くの法案をまとめて作成された。
同法案では、いじめは違法行為を構成するとみなされ、いじめ行為を行った者は、最高で4年の拘留を受ける可能性がある。新しいのは、被害者保護のための一連の制度である。なかでも、立証責任の転換(ただし、民法上の保護に関する場合のみ)が定められ、使用者が、故意に傷つけたのではなかったことを証明しなければならないことになる。使用者敗訴の場合は、被害者を閑職に置いたすべての行為が無効とされる。

「現在の法の枠組みは十分ではない」と、法案の調整作業に関わっている労働法学者のルチャーノ・タンブッロは言う。「蔓延した現象に対処するのであるから、特別法という形の方が、都合が良かった。大企業は、とくに企業合併などの後で、この『システム』を従業員を間引くのに使っている。従業員を解雇するよりも、自ら立ち去らせる方がいいわけだ」。これは、戦略的ないじめの場合であり、相手を苦しめたいために行われるいじめとは異なる。いじめ行為に耐えることができる者もいれば、屈服する者もいる。一般に、50代の男性で、高級の上級管理職といった「意欲的な人ほど参ってしまう。強者ではあるが、その威厳がいじめを受けた結果、粉々に壊れてしまうのだ。無精者は病気にならない」と刑法学者のフランチェスコ・ブルーノは述べている。

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