法令遵守(コンプライアンス)が厳しく問われるウォルマート
全米各地で世界最大の小売業者ウォルマートの法令遵守(コンプライアンス)が厳しく問われている。2月には、1998年から2002年にかけて全米24店舗におけるチェーン・ソーやフォークリフトなど危険器具・機械使用を伴う就労を児童に行わせた児童労働法違反を理由に、13万5540ドルの罰金処分を受けた。ウォルマート側は容疑を否定するものの、罰金の支払いには同意。このほか、1)14歳以下の児童を雇用しないこと、2)18歳以下の従業員にフォークリフトの操作による段ボール箱の運搬等をさせないこと――に同意している。米国児童労働法は、18歳以下の労働者による危険器具・機械使用を伴う労働を禁じている。ウォルマートが児童労働法違反で罰金を科せられたのは、今回がはじめてではない。2000年3月には、メイン州の20店舗における児童労働違反で20万5650ドルの罰金処分を受け、また、2004年1月には、全米128店舗への査察により1371件の児童労働法違反が発覚。その大半は、児童による長時間労働、深夜労働を含む就業を理由とするものだ。
これに続きウォルマートは3月、各店舗の清掃業務に従事する数百万人に及ぶ不法移民労働者の使用をめぐり1100万ドルの罰金命令に応じた。これら不法移民労働者は派遣会社を通じて「不法」である事実を認識せずに雇い入れたため、ウォルマート側は、刑事責任については否定。罰金額は、不法移民労働者に関するケースでは過去最高額だが、刑事訴追は免れた。また、今後の採用にあたっては、1)自社採用の従業員のみならず派遣業者からの労働者の雇い入れについても移民法遵守の確認を徹底する、2)店長クラスに対し雇用・採用関連の教育を実施する――と合意している。なお、派遣会社12社は刑事責任を追及され、罰金400万ドルの支払いを命じられている。
こうしたウォルマートの法令遵守を求める動きは労働法分野に限らない。カリフォルニア州で現在進行中のスーパーセンター40店舗の新規建設プロジェクトは、環境保護法違反をめぐる訴訟で中断している。同訴訟は、建設反対派グループを代表する弁護士が、建設を許可した同州約30市を相手取って提起したもの。建設許可の撤回はおそらくないが、反対派グループの狙いは、建設プロジェクトの遅延によりウォルマート側に多額の損失を被らせ、建設中止を余儀なくさせることだ――とメディア(アソシエーテッド・プレス)は報じている。
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