サバティカル休暇制度の導入

カテゴリー:雇用・失業問題労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年3月

2002年以来いくつかの地域で試験的に導入されてきたサバティカル休暇制度が、2005年1月から全国で拡張適用されることとなった。基本的に1万2000人の労働者が手当を受給しながら最長1年の休暇を取得することができ、一時的な代替要員として失業者を雇い入れることとなる。

2002年2月、政府は、10の地方自治体において、試験的に2年間サバティカル休暇制度を導入した。この試験的制度は、失業者が代替要員として雇い入れられることを条件に、労働者は最長1年間のサバティカル休暇を取得できることとされた。休暇期間中、労働者は、失業手当の85%に相当する手当(賃金の68%)を国から受給しながら、家庭での育児、学習や新規開業を行うことができる。しかし、他の職に就いたり、従前の職場で臨時労働者として働くことはできない。

10の地方自治体における2002年から2004年にかけての実験は、休暇を取得する労働者及び代替要員の労働者双方にとって、成功であったと評価されている。2004年10月までに1万4400人がサバティカル休暇を取得した。約半数が50歳以上であり、4分の3が女性であった。2004年12月の試験期間終了前に、議会はこのプロジェクトを全国に拡大することを承認した。

このため2005年1月から、サバティカル休暇制度の第2段階が全国で開始された。合計1万2000人の期間の定めのない雇用契約の労働者が、失業者を代替要員として雇い入れることを条件に、サバティカル休暇を取得することができる。政府によると、制度の目的は、労働者に個人的事情や技能開発のための休暇を与える一方で、公共職業安定所に登録している失業者に職を提供することである。労働市場庁(AMS)がこのプロジェクトに責任を持っている。

拡張されたサバティカル休暇制度の詳細は、試験期間の制度と非常に似通っている。勤続2年以上の労働者が、賃金の68%の手当を受給しながら、最長1年の休暇を取得することができる。移民や障害者などの長期失業者が休暇取得者の代替要員として仕事に就く。代替要員の採用は使用者の選択による。職業安定所が候補者を紹介するが、使用者は失業者登録されている限り他の者を採用することができる。代替要員の賃金、その他の労働条件は、使用者と当該労働者の合意によって決まる。

サバティカル休暇制度には、2005年で15億スウェーデンクローナ(SEK)の予算が措置されている。この制度がすべての政党に支持されているわけではない。環境党は、この改革を少数与党の社民党政府に協力する条件とした。労働組合は、むしろ失業者のための職業訓練に予算をつぎ込むべきであると考えていた。サバティカル休暇の予算が、職業安定所に登録された失業者のための職業訓練を含む労働市場政策の予算を食ってしまうことは明白である。顕在失業率5%、職業訓練プログラム参加者3%の現下の雇用情勢において、労働市場政策の予算から労働者の休暇のための費用を拠出することは、たとえそれが賃金の68%の水準であったとしても、非常に贅沢な制度と見る向きもある。

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