2004年末及び2005年の雇用情勢

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2005年3月

2004年末時点の顕在失業率は4.6%(24万6000人)であり、失業者にカウントされない職業訓練参加者は2.8%(12万2000人)であった。合計の不均衡数値は7.4%であり、前年比2万9000人増の36万9000人となった。2004年11月は、顕在失業率5%、職業訓練参加者3%であった。12月の顕在失業者数(24万6000人)は前年同期比1万2000人減少し、職業訓練参加者数は1万4000人減少した。

2004年第2四半期にレイオフされた労働者数は、2万8000人となり、依然高い水準ではあるが、前年同期の3万8000人から1万人減少した。建設業、小売業及び製造業においては、より積極的な採用意欲が見られる。とりわけ自動車産業は、追加採用にもっとも意欲的である。2004年12月は、労働センターに前年同期比2000件増の2万件の求人が報告された。しかしながら運輸、ホテル、レストランなどの業種は、自然減により雇用者を減少させている。統計数値は、使用者が依然として持続的に活発な経済活動を示している経済指標を信用していないことを表している。

地域的にも大きな不均衡が見られ、例えば北部のノルボッテン(Norrbotten)やイェーヴレボリ(Gavleborg)では、不均衡数値(顕在失業率と職業訓練参加者率の合計)は、それぞれ13.8%、12.9%であった。一方、ストックホルム(Stockholm)では、完全雇用に近い水準の5.3%(顕在失業率約2%、職業訓練参加者率約3%)であった。

全国労働市場委員会(AMS)は、最も成功した労働市場政策は長期失業者、障害者や移民を追加的に雇用する場合に、労働センターから使用者に対して支給される雇用補助金であったと報告している。結果として長期失業者数(6カ月以上、25歳以下の若年者は100日以上)は減少し、とりわけ若年の長期失業者数は、7万5000人から5万5000人に減った。労働市場庁は、この政策のためのより大きな財源を財務省に要求した。補助金は、主に、インフレに影響しない減税の形式をとっている。

経済専門家の将来の雇用情勢に関する見方は、依然として分かれている。国立経済研究所(Konjunkturinstitutet)は、主に労働力などの資源が完全には活用されていないため、経済活動は依然低調であると強調している。そのため完全雇用に近い高い経済成長が実現するまで、金利を引き上げるべきではないとしている。

雇用の増加はいつもGDPの成長に遅れて現れる。今回はさらに高い生産性が雇用増を遅らせている。もし生産性がさらに上昇するなら、雇用の増加はさらに遅れる。しかし、そろそろ雇用増が実現しそうである。

スウェーデン企業連盟(SN)は楽観的ではなく、雇用増加を実現させるためには、新規企業に対するより多くの投資が必要であるとしている。現在スウェーデンの経済規制は新規企業に有利となっておらず、輸出産業の利益はむしろ海外に投資されていると主張する。

2004年末の政労使及び経済学者を巻き込んだ経済論議の結論は、2005年に4万~8万人の雇用が増加し、1~2ポイントの失業率低下が期待できる、というものであった。3%に近い最高水準の積極的労働市場政策が維持されることにより、顕在失業率は4%以下に低下するであろう。しかし、構造変化や通常の転職に基づく通常の労働移動率を反映した2%の完全雇用水準には程遠い状況にある。

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