欧州委員会、合同雇用報告草案(2004年~2005年)を採択
欧州委員会は、1月27日、合同雇用報告案(2004年~2005年)を採択した。この報告は、欧州雇用ガイドラインに基づきEU加盟国が作成する国別雇用行動計画(NAPs)を欧州委員会と欧州理事会が分析し毎年取りまとめるものである。今年の報告は、初めて拡大EU25カ国の国別報告に基づいて作成され、欧州委員会がリスボン戦略の中間見直しに関して作成し、2005年春の欧州理事会に提出される報告書に添付される。
報告は、過去の労働市場改革は経済不況に対する雇用の回復力を強化したが、欧州雇用戦略に掲げる3つの目標、フル就業、仕事の質と生産性の向上、社会的結束と統合の強化に関してはわずかな進展しか見られないと結論づけている。
2003年のEU全体の就業率は63%で停滞しており、リスボン戦略目標の2010年までに70%を達成するのはしだいに難しくなってきている。2003年にようやく40%を超えた高齢者の就業率は、2010年の目標である50%の達成が最も危ぶまれている。他方、女性の就業率は55%であり、目標60%の達成は比較的容易であると見られている。
加盟国は、税制や助成金による政策を通じて、働くことが経済的に引き合うようにすること、公共職業安定事業の再編、企業家精神の育成、生涯学習戦略の導入に関して努力を傾注している。しかし、それらは経済再建、闇就労対策、教育投資の拡大、活力ある高齢化の推進に関し、わずかな貢献しかしていない。男女の賃金格差は16%の水準で停滞し、職業訓練を必要としている人々の訓練参加率は依然として低く、労働災害発生率も依然高い。
報告は、1)労働者と企業の適応能力、2)より多くの人々の労働市場への参加、3)人的資源及び生涯学習への効果的な投資の拡大、4)より良い統治に基づく効果的な改革の断行――の4つの分野に焦点を当てた行動が重要であるとする雇用タスクフォース報告の結論を再確認している。
報告は、EUレベルの雇用戦略の優先事項と加盟国の実施状況との格差を是正していくため、各国政府が国家や地方レベルの行動にEUの政策を導入することについて国民の理解を促進していくことが重要であると指摘する。そのためには国別雇用行動計画により大きな政治的正当性を与え、意思決定過程の不可欠な一部にしていく必要があるとしている。
欧州雇用戦略は、リスボン戦略に掲げる雇用率目標を達成するための主導的役割を担っており、この重要性がより明確に認識されなければならない。リスボン戦略の中間見直しは、調整過程を簡素化し、実行への断固とした意志を明確にすることにより、目標達成のためにすべてのレベルの注意を喚起する機会を提供するとしている。
2005年3月 EUの記事一覧
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- 欧州委員会、合同雇用報告草案(2004年~2005年)を採択
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