2005年第3四半期の労働経済情勢発表される

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  • 国別労働トピック:2005年11月

労働社会保障部は、10月25日に2005年第3四半期の労働経済情勢を発表した。以下ではその概要を紹介する。

  1. 就業と再就業の状況

    就業と再就業への政策的重点の成果として、就業状況は好転の兆しを顕している。9月末時点の全国の都市部新規就業人員は810万人で、今年の目標値である900万人の90%にまで到達している。また下崗(リストラ)労働者の再就職では390万人が就職に成功し、今年の再就職目標人数500万人の78%を達成した。特に、4050世代(就職が難しいといわれる40歳代女性、50歳代男性)では88万人が就職に成功しており再就職成就率は88%に達している。第3四半期末の都市登録失業人員は835万人で、都市登録失業率は4.2%である。

  2. 国有企業下崗労働者の失業保険による基本的生活保障状況

    9月末時点で全国17省において失業保険制度が実施されている。その他の省においても具体的項目の策定と制度の積極的推進がなされている。国有企業下崗労働者は現在98万人、昨年同期比で55万人の減少である。9月末、全国失業保険加入人数は1億546万人、受給者数は385万人である。1月から9月までの失業保険基金収入は229億元、同期比で16%の伸びを示している。同支出は138億元であった。

  3. 都市企業労働者の養老保険に関する状況

    養老保険制度の体系は、着実に進んでいる。まず、1月から9月までの全国レベルでの企業退職者基本養老年金支給額は2529億元にのぼり、一部地域で過去からの未支給額の累計が10億元あるものの、新たに未支給などの報告はない。また、9月末時点で全国の養老保険加入人数は1億7120万人に達し、これは昨年同期比で767万人の増加である。1月から9月までの基金総収入は3476億元、徴収収入は3019億元、同時比507億元の増収、20.2%の伸び率となっており、過去3年で最高水準示している。さらに、社会化管理サービスについては、9月末時点で、対象とする企業退職者は3596万人、昨年より166万人増えており、企業退職者全体の93.9%にあたる。このうち、社区が管理する企業退職者数は2527万人で、企業退職者総数の66%にあたる。

  4. 医療および生育(出産)保険の状況

    9月末まで医療保険加入者数は、1億3341万人、昨年比で937万人増加している。1月から9月までの基金収入は982億元で、27.9%の増加である。一方、支出は755億元、これは26.9%の増加である。

    生育(出産)保険の加入者は5085万人で、昨年同期比で701万人増えている。全国では、17省(市、区を含む)において生育保険に関する法規が整えられているが、40万人が保険の適用を受けている。

  5. 工傷(労災)保険の状況

    9月末時点で全国工傷保険への加入人数は7810万人で昨年より965万人増加している。このうち49万人が適用を受けた。労災リスクの高い石炭産業については、7月に全国石炭産業企業の労災加入に関する座談会が開催され、労災保険加入促進政策が推進された。山西、河南、河北の全国有石炭企業は労災保険に加入した。「工傷保険条例」の推進に向け標準化の確立が引き続き推進されている。また、「労働能力検定基準」に関する意見書が取りまとめられた。さらに、南昌市の労災復帰センターが労災復帰モデルのための職場として指定されている。

  6. 労働関係の協調と労働保障に関する法制の状況

    まず、労働契約、集団契約の管理に関して、国務院は法制の施行と積極的展開にむけ「労働契約法(草案)」に関する研究と議論を行い、検討を進めている。全国労働契約制度の執行状況とあわせ「労働契約制度三年行動計画」を起草した。これは、全国労働関係三者協調会議での議論の結果を待って発表される。また、国有大規模および中規模企業の改革を推進している。9月末までに71社を対象とした改革のための全体計画と実施計画が検討され、3820職場単位、60万人の従業員について再配置が検討審議された。さらに、労働関係における三者協調制度の確立と推進については、全国地方各級レベルにおいて6600以上の三者協調機構の設置が報告されている。農民工の報酬の問題について、建設部、監督部は未払い賃金の調査を進め、「未払いの農民工賃金問題解決にむけた通知」を発表した。また、労働者の権利保護へ向けた制度の確立と政策的努力の推進に政策的重点はおかれてきたが、その一環として「労働契約法」「就業促進法」「社会保険法」「職業技能訓練と検定条例」等の立案にむけ、賃金支給、労働力市場管理に関する法律制定のための研究を今後さらに推進していく。

  7. 労働保障に関する政策対応

    労働保障行政の管理体制において公平性と透明性を保持するため、国務院要綱に基づき、公開による意見を行政に生かす努力を今後も継続していく。労働社会保障行政においては「労働社会保障部政務の公開に関する弁法」を制定し、労働社会保障部ウェブサイトにおいて公開意見を聴取している。

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