2005年7月の失業率は7.7%に低下するも、貧困世帯は15.5%に増加
国家統計局(NSO)の発表(2005年9月15日)によると、2005年7月の失業率は7.7%、失業者数は、271万5000人であった。なお、この数字は、2005年4月の集計から本格的に採用された新基準によるもの(注1)。同じく新基準による同年4月の結果と比較すると、失業率は0.6ポイントの改善、失業者数は約20万人の減少となった。その一方で、世論調査会社ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)の最新調査結果から、「過去3カ月間に1度は空腹を経験したことがある」と回答した世帯が、15.5%(260万世帯)にのぼり、1998年の調査開始以来2番目に高い数字であることが明らかになった。
失業者271万人のうち、60.7%が男性で、女性は39.3%。年齢別では、15歳から24歳がほぼ半数(49.9%)になる。25歳から34歳が28.6%、35歳以上は、21.5%となっている。依然として、若年層の失業率が高いことがわかる。
一方、就業者数は3252万1000人。業種別にみると、サービス業が全体の47.8%を占め(1553万2000人)、次いで、農林水産業が36.9%、工業が15.4%となっている。なお、サービス業では、各種販売・自動車整備が606万4000人、運輸・倉庫・通信が241万9000人などとなっている。
2005年4月 | 2005年7月 | |
15歳以上の総人口(千人) | 54,583 | 54,194 |
労働力人口(千人) | 32,236 | 35,126 |
就業者数(千人) | 32,521 | 32,217 |
就業率(%) | 92.3 | 91.7 |
失業者数(千人) | 2,715 | 2,909 |
失業率(%) | 7.7 | 8.3 |
不完全就業者数(千人) | 6,660 | 8,422 |
不完全就業率(%) | 20.5 | 26.1 |
出所:国家統計局
このように、失業率の改善がみられる一方で、世論調査会社ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)が全国1,200世帯を対象に行った調査の結果によると、半数近くが自らを「貧困」と考えていることが分かった。
本調査は、2005年8月26日から9月5日にかけて、インタビュー形式で実施されたもの。それによると、「過去3カ月の間に食べ物がなかったことを1度でも経験したことがある」という世帯は、15.5%(260万世帯)にのぼった(同年5月は12%)。SWSによると、本調査が開始された1998年以降、2001年3月の16.1%に次いで、2番目に高い数字。6四半期連続で2ケタ台を記録しているという「空腹率」の平均(1998年-2005年)は、10.4%になるという。
アロヨ大統領は、就任時、今こそが「変革の時である」とし、10の課題と5つの改革案を表明(注2)。6年かけてその実現を目指すとしているが、今回の調査結果は、現実の厳しさが数字となって現れたといえよう。
注
- ILO(国際労働機関)の失業率基準を基にNSOが新たに策定した基準で、2005年4月より本格的に採用。新基準では、1)無職、2)就職の意思はあるが無職、3)求職中または何らかの事情で求職活動を停止中――の、15歳以上の男女を「失業者」と定義している。
- アロヨ大統領が発表した10の課題と5つの改革案の内容については、当機構ウェブサイト 海外労働情報 国別労働トピック(2004年9月)を参照のこと。
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