中国就業状況と政策(日本語訳)

中華人民共と国国務院新聞弁公室
2004年4月-北京

目次

  1. 序言s
  2. 就業基本状況
  3. 積極的な就業政策
  4. 労働者の質の向上
  5. 農村労働力就業
  6. 女性、若年者と身体障害者の就業
  7. 21世紀前期の就業についての展望

序言

就業は、国民生活の基本であり、国民が生活を改善するための基本前提と基本方法である。

13億人に近い人口を抱える中国は世界最大の人口を有する国である。中国における就業問題の解決は、困難を極めると同時に差し迫ったことである。

中国政府は国民の根本利益から出発し、就業問題をきわめて重視している。中国政府は「中華人民共和国憲法」、および「中華人民共和国労働法」などの法律法規に基づき、労働者の就業の権利を守り、各種の政策と措置を講じて、たえず労働者の就業需要を満たすために、就業を積極的に促進している。

中国政府は国情にもとづき、実践、模索および国際経験の学習を通じて、一連の積極的な就業政策を制定、実施した。現在、中国はすでに市場メカニズムに適応する就業システムを確立し、計画経済時代に形成した企業余剰労働者の問題は基本的に解决した。経済発展と経済構造調整のなかで就業規模は次第に拡大し、就業構造は次第によくなり、就業ルートはたえず拡大し、就業形態はますますフレキシブルになり、全体の就業情勢の基本安定を維持してきた。

相互尊重と平等で相互の利益を図るという原則にもとづき、中国政府は積極的に国際労働の活動に参加した。中国は「就業できる最低年齢公約」、「最悪な形態の児童労働を禁止し、即刻行動を起こし取り締まる公約」、「男女同一労働で同等価値なら同一賃金を付与する公約」、「就業政策公約」などの国際労働公約を採決した。労働就業の分野では、中国は国際労働機関、国連開発計画、世界銀行、アジア開発銀行など数多くの国際組織および多くの国との有効な交流と協力関係を結んだ。

1.就業基本状况

中国の労働適齢人口は多いが、国民の教育水準が比較的に低いため、就業情勢は極めて厳しい。具体的にいうと、労働力需給全体の問題と就業構造の問題が同時に存在し、都市部就業圧力の増大と農村部余剰労働力が農業以外の分野への移転の加速化が同時に出現し、新たに成長する労働力の就業と失業者の再就業の問題が同時に存在している。

人口と労働力

2003年、中国の総人口は12.92億人に達し(香港特別行政区、マカオ特別行政区と台湾省を含まない)。全国16歳以上の人口は99889万人、うち都市部42375万人、農村部57514万人である;経済活動人口76075万人で、労働力参加率は76.2%である。16歳以上の人口のなか、中学校以上の学歴をもつのは61.7%、短大以上の学歴をもつのは6.6%;技術労働者のうち、初級技術労働者が61.5%、中級技術労働者が35%、高級技術労働者が3.5%である。

就業の全体量

2003年、中国の都市と農村就業者は74432万人に達し(図1参照)、そのうち都市部25639万人で34.4%を占め(図2参照)、農村部48793万人で65.6%を占める。1990-2003年に増加する就業者は9683万人で、平均にして毎年新たに745万人が増加した。

図1:都市部就業者数の変化

(図1 都市部就業者数の変化)

図2:都市部就業者数の変化

(図2 都市部就業者数の変化)

就業構造

就業構造からみると、1990-2003年に、第三次産業就業者が占める割合が安定的に増加し、18.5%から29.3%まで増え、就業者は21809万人に達した;第二次産業就業者が占める割合が21.6%に固定しており、就業者は16077万人に達した;第一次産業就業者が占める割合が低下し、60.1%から49.1%に低下し、就業者は36546万人となった(図3参照)。都市と農村の就業構造からみると、1990-2003年に、農村就業者が占める比率は73.7%から65.6%に低下した。異なる所有制の企業における就業構造からみると、1990-2003年に、国有セクター就業者が3470万人減少し、6876万人となった。都市部個人経営や私営経済組織の就業者が3596万人増加し、4267万人となり、同時期の都市部新規増加就業者数の46.5%を占める;各種の海外投資および多種多様な形態の経済、パートタイマー、臨時工、季節労働者、時間給労働者、フレキシブル労働者などの各種の就業形態が急速に台頭し、就業拡大の重要ルートとなった。

図3:中国の第一次、第二次、第三次産業の就業構造

(図3 中国の第一次、第二次、第三次産業の就業構造)

失業率

近年、就業圧力が継続的に増大するなか、中国政府は数多くの措置を取り、都市部失業率の急上昇を抑えようとしている。2003年末、都市部登録失業率は4.3%で、都市部登録失業人数は800万人である(図4参照)。

2004年、中国政府が定めた就業と再就業の目標として、新たに900万人の就業、500万人のリストラ失業者の再就業、そのうち100万人の就業が困難と見られる者の再就業を実現し、都市部登録失業率を約4.7%に抑えようとしている。

図4:1990-2003都市部登録失業率(単位:%)

(図4 1990-2003都市部登録失業率%)

都市と農村の住民の所得

経済の発展と就業機会の拡大にしたがい、庶民の收入も増加している。1990-2003年、都市部住民の1人あたり可処分所得は1510元から8472元に増え、4.6倍も拡大した、実質的には1.6倍増となった;農村住民1人あたり純收入は686元から2622元に増加し、2.8倍増となり、実質的には77%増となった(図5参照)。

図5:中国の都市と農村住民の所得が逐年に増加する

(図5 中国の都市と農村住民の所得が逐年に増加する)

2.積極的な就業政策

中国は積極的な就業政策を実行し、「労働者の自主就業、市場による就業への調整、政府の就業促進」という就業方針を確立した。中国政府は経済の発展、経済構造の調整、改革の深化を通じて、都市と農村経済の調和のとれた発展を図り、社会保障体系を改善し、就業を促進することを堅持しており、各種の有効な措置をとることによって、できるかぎり就業を増加し、就業規模を拡大し、失業率を社会が耐えられる限度以内にコントロールしようとしている。

経済発展と構造調整を通じて、積極的に就業機会を創出する

経済の発展によって就業拡大を図る。中国政府は一貫して就業促進を国民経済と社会発展の戦略として位置付け、失業率の抑制と就業機会の増加をマクロ経済調整の主要目標に据え、国民経済と社会発展計画に盛り込んでいる。内需拡大の方針を堅持し、積極的な財政政策と穏健な貨幣政策を実施し、国民経済の安定かつ迅速な発展を維持し、積極的に経済構造調整を行い、拡大する経済成長の牽引力を就業に強化させる。

第三次産業を発展し、就業規模を拡大する。中国政府はサービス業の発展を就業拡大の主要方向とすることを堅持し、コミュニティにおけるサービス、飲食、貿易、流通、観光などの産業の発展を促し、これらの業種における就業機会を増加させる。2002年、中国政府は第三次産業のさらなる発展、伝統サービス業で就業ルートの拡大、観光業の発展促進などの、就業機会拡大のための支援策を制定し、コミュニティにおける公益的な就業機会の開発に重点をおき、リストラ失業者とその他の就業困難な人々の再就業の援助を促進する。

多種多様な所有制経済の発展を促し、就業ルートを拡大する。中国政府は労働力資源の優位の発揮と、比較優位と市場需要のある労働集約型産業と企業、特に雇用機会の多い私営、個人経営企業と中小企業を積極的に発展を重視しており、これらの企業や産業が吸収した労働力は都市部就業機会の増加分の約80%を占めるようになった。2002年8月に中国は「中小企業促進法」を公布し、さらに中小企業の発展の規範化を図り、その発展を促進した。

フレキシブルで多様な就業形態は発展し、就業ルートが拡大した。中国政府は労働者がフレキシブルで多様な方式で就業を実現することを提唱し、積極的に労働力派遣や就業基地を発展し、フレキシブルな就業にサービスと援助を提供する。政府はパートタイマー労働、臨時就業者の医療保険等政策を、および労働関係、給料の支払い、社会保険などの制度を制定し、フレキシブルな就業をする人々の合法権益を促進し保障する。

公共就業サービス体制を改善し、労働力市場を育成、発展する

市場メカニズムによる就業システムを確立する。中国政府は積極的に労働力市場を育成発展し、次第に企業が労働力市場の使用者側として、労働者が労働力の供給側としての地位を確立する。同時に、社会保障制度、住宅制度、戸籍制度などの改革を合わせて推進する。労働力市場を育成するための客観的な環境はすでに顕著に改善し、市場システムはすでに労働力資源配置のなかで基礎的な役割を果たしている。

公共就業サービス体系を改善し発展する。20世紀90年代後半から、中国政府は労働力市場の科学化、規范化と近代化建設に力を入れ、公共就業サービス制度を確立している。現在、大中都市と一部の条件が備えた小都市では、市と区において一般的に公共職業斡旋機構が窓口とする総合的なサービスの場を設立し、中小都市では基本的には町やコミュニティの労働保障業務体制を確立し、末端における就業サービス組織ネットワークを改善した。全国100近くの大中都市における労働力市場の情報ネットワークを確立し、市と区の就業サービス機関の間におけるコンピュータのネットワークによる情報共有を実現した。一部の都市ではすでに情報ネットワークを町やコミュニティまでつながった。全国ではすでに89の大中都市は四半期ごとに社会に労働力市場の需給分析情報を提供し、労働力資源の合理的な配置の促進と職業訓練事業の発展を誘導する役割を果たした。政府はまた民間職業斡旋機関の規範化を図り、その発展を促した。2003年末に、全国には各種の職業斡旋機関2.6万カ所があり、そのうち各級の労働と社会保障部門が主催する公共職業斡旋機関が1.8万カ所である。公共職業斡旋機関は毎年2000万人近くに就業サービスを提供し、1000万人の就業を実現させた。

失業保険制度を改善する。20世紀80年代半ば、中国は、失業者に失業救済制度と失業医療補助を提供し、失業者の管理とサービスを行い、失業保険の就業と再就業の促進の役割を十分に生かすために、失業保険制度を確立した。1999年1月、中国政府は「失業保険条例」を公布し、さらに失業保険制度を改善した。労働社会保障部の統計によれば、2003年に全国失業保険基金収入は249億元で、支出が200億元、残高は304億元である。2003年末に、全国失業保険参加者は10373万人で、年末に失業保険金受給者は415万人である。

リストラ失業者の再就業を促進する

中国では長期にわたって、労働力の供給が需要を上回り、経済構造の度重なる調整の結果、伝統産業から数多くリストラ失業者が生み出されている。1998-2003年の間、国有企業のリストラ労働者は2818万人となった。

近年、中国政府は一連のリストラ失業者の再就業促進策を打ち出した。就業機会の創出に力を入れ、再就業サービスを改善し、再就業のための資金投入を増加し、再就業のための技能訓練を強化することで、積極的にリストラ失業者の就業についての考え方の転換を促している。1998-2003年、中央財政は国有企業リストラ労働者の基本生活保障と再就業のために731億元の資金を投入した。2003年、全国各級政府の共同努力によって、440万人のリストラ失業者が再就業を実現し、うち120万人は、50歳以上の男性と40歳以上の女性などの就業困難と見られる者である。

再就業サービスセンターを設立する。中国政府は各界の力を組織し、リストラ労働者をもつほとんどの国有企業で再就業サービス中心を設立し、リストラ労働者に基本生活保障を提供し、彼らの代わりに養老と医療保険などの社会保険費用を納め、彼らに一回の職業指導を行い、三回の就業情報サービスと一回の無料職業訓練機会を提供している。

税金減免と少量の担保貸付金援助政策を提供する。リストラ失業者は自営業を立ち上げ、個人経営を行う場合、三年以内に税金の納付を免除する;リストラ失業者が自営業やベンチャーを立ち上げる場合、少量の担保貸付金を提供し、政府が担保基金を設立し、財政による利息の補助を行う。

社会保険補助と税金減免政策を実行する。各種のサービス業企業と商業貿易企業が新規募集を行う際に、国有企業リストラ失業者を採用する場合、政府が社会保険補助を提供する。企業がリストラ失業者を多く採用することを奨励し、サービス型企業、商業貿易企業、労働就業サービス企業の中の加工型小企業、および町やコミュニティの加工を行う小企業などは、当該年度の新規採用の中にリストラ失業者の採用が30%以上と達した場合、三年以内に関連税金を減免する。

再就業援助を通じて就業が困難な者を援助する。50歳以上の男性、40歳以上の女性で、就業能力と就業希望があるが、就業が困難とされるリストラ失業者を就業援助の主要対象とし、即時の就職援助など多様な援助を提供する。政府が投資して開発した公益的な就業機会については年をとっている就業が困難な者を優先して手配する。コミュニティにおいて公益的な就職機会を開発し、国有企業に勤めていた年をとっており就業が困難な者の就業を手配し、政府から社会保険補助と在職補助を支給する。

国有大中型企業を通して余剰労働者を配置する。国有大中型企業が主要業務と非主要業務の分離、非主要業務の民営化などを通じて、企業が抱える余剰労働者の分流を促す。所有制を変える企業および経済実体を起こし一定比率の余剰労働者を雇用する場合、三年以内には企業所得税を免除する。

リストラ失業者の就業サービスを強化する。各級の公共職業斡旋機関の中、リストラ失業者に対して求職登録、職業指導、職業斡旋、社会保険関係の引継ぎなどの諸手続きを一カ所で行う「ワンストップ」就業サービスを実行し、さらに無料の職業斡旋と職業訓練を行う。近代的な情報ネットワークを生かし、リストラ失業者に迅速かつ正確な就業情報を提供する。リストラ失業者の自営業やベンチャーの立ち上げに対して、条件を備える地域で専門窓口を設立し、登録、税務手続き、労働保障業務代行などの一通りのサービスを実行する。多層で多様な形態の再就業訓練を組織し、リストラ失業者の就業能力を向上させる。ベンチャーを立ち上げる条件を備える者に対して、創業訓練と創業のための指導を行い、コンサルティングを提供し、追跡サポートなどのサービスを提供し、創業の手本を育成することによってもっと多くの人の創業を促す。

社会保障体系を改善し、労働関係の協和と安定を守る

「三つの保障ライン」制度を確立する。1998年以降、中国政府は、国有企業リストラ労働者基本生活保障、失業保険と都市住民最低生活保障の「三つの保障ライン」制度を確立した。リストラ労働者のいる国有企業で再就業サービスセンターを確立し、リストラ労働者は、センターにいる間に最大三年間の基本生活費を受け取ることができる。三年間が満了してセンターを出た後にも、再就業を実現できなかったリストラ労働者とその他の失業者は、すでに失業保険に加入し、これまで保険金の滞納のない者については、規定にしたがい最大2年間の失業保険金を受け取ることができる(図6参照)。都市住民家庭の1人あたり收入が当該地域の最低生活保障基準を下回るリストラ失業者は、規定にしたがい都市住民の最低生活保障基準を適用することができる。「三つの保障ライン」の確立にしたがい、リストラ失業者の生活保障、社会保障と再就業を緊密に連結するようになった。

図6:失業保険金受給者数の変化

(図6 失業保険金受給者数の変化)

社会保障サービスを強化する。中国政府は各種の措置を通じて、積極的に企業から独立した企業や事業所の設立を奨励するほか、資金源を多様化、保障制度を規範化することで、管理サービスが社会化した社会保障体系の確立を模索する。1998年以降、リストラ失業者の社会保険関係引継ぎ制度を確立し、リストラ失業者の再就業を推進している。リストラ失業者が企業から離れる時、それまでの年限に納付した費用と個人口座はそのまま保留し、再就業した後に養老保険を継続して参加しかつ規定に従い費用を納める者の場合、以前に納めた費用と年限は合わせて計算される。リストラ失業者がパートタイマー、臨時工、弾力的労働などのフレキシブルな形態で就業する場合、その就業の特徴に適応した社会保険の方法と労務雇用管理制度を初歩的に制定した。

新たな労働関係調整メカニズムを確立する。中国政府は積極的に「双方が自主協議を行い、政府は法にしたがい調整する」という労働関係調整メカニズムの確立を推進し、労働契約の確立によって労働関係制度の確立を推進している。労働契約制度はすでに都市部の各種の企業の中で広く導入されている。政府は企業がたえず労働者代表大会と労働組合(工会)の機能の強化を図ることを促し、労働者による民主参加制度を改善し、積極的に平等協議によって集団契約を締結する制度を模索し推進している。2003年末に、全国は集団契約63.5万件を結び、カバーする企業は127万社、カバーする労働者は8000万人余になった。そのうち賃金特別集団契約を結んだ企業は29.3万社で、カバーする労働者は3579万人である。中国は全面的に自国の国情に適応した政府、労組と企業の三者協議メカニズムの確立をスタートさせ、労働関係に関連する重大問題について意見交換と協議を行っている。現在、全国では、すでに30の省、自治区、直轄市で相次ぎ省レベルの三者労働関係協議会議制度が確立され、すでに各級の三者協議機関5062機関が確立された。同時に、中国は労働争議の調停、仲裁と法律訴訟制度を確立し、労働争議を法によって処理することを軌道に乗せている。

労働者の就業権利を保護する。中国の法律は、労働者の就業は、民族、性別、宗教信仰の相違による差別を受けてはならないと規定している。中国の法律は事業主が16歳未満の未成年者を雇用することを禁止しており、国家は厳しく法律に違反して児童労働者を斡旋し使用する行為を取り締まっている。中国政府は法律執行の監督の力を強化することによって、企業が法律法規に基づく平等な就業規定を遵守することを督促し、労働力市場における各種差別行為を是正し、メディアでの差別内容を含む求人広告を掲載することを禁止している。同時に、労働者の権利保護意識と能力を向上させ、良好な世論を形成させ、労働者が法律に依拠し自らの労働就業権益を守ることを支持し奨励している。中国政府はたえず職業安全と衛生の国家基準、業界基準と地方基準を改善し、1999年職業安全衛生管理体系基準を公布し、全面的に認証業務を展開している。2003年に、国務院は「労災保険条例」を公布し、2004年1月1日から実施した。

3.労働者の素質を向上させる

中国政府は多様なルートを通じて、積極的に各種の教育と訓練事業を行い、学歴証書と職業資格証書をともに重視する制度を実行し、全面的に労働者の就業能力、創業能力と職業変化への適応能力の向上を目指している。

各種の教育事業の発展

中小学校教育を普及させる。2003年に、全国小学校適齢児童の入学率は98.6%に、中学校のおおよその入学率は92.7%に達し、高校教育(普通高校、職業高校、成人高校、普通中等専門学校、成人中等専門学校と技術学校を含む)ではすでに学校が31900カ所、在校学生数が3241万人、高校入学率はおおよそ43.8%に達した。そのうち、中等職業教育(職業高校、普通中等専門学校、成人中等専門学校と技術学校を含む)では、学校が14800箇所、在校学生数は1254万人になった。

発展高等教育と成人教育。2003年、高等教育を受ける学生はすでに1900万人規模で、高等教育のおおよその進学率は17%となった。2003年に、全国各種の学校が行っている各種の成人非学歴教育の卒業者は延べ7436万人になり、現在でも5844万人が各種の訓練を受けており、そのうち職業技術訓練学校が年間延べ7242万人を訓練している。2003年に、各種の民間学校は70000校で、在校学生数は1416万人となった。

職業訓練システムの確立

中国の職業訓練は就業前訓練、職業転換訓練、徒弟訓練と在職訓練を含み、初級、中級、高級技師(資格のある技能労働者)職業資格訓練とその他の適応性訓練などのレベルをカバーしている。国家は高等職業学校、高級技術学校、中等専門技術学校、技術学校、就業訓練センター、民間職業訓練機関、企業労働者訓練センターなどの職業訓練機関の発展を通じて、全面的で多層の職業教育と訓練体系の形成に努め、都市部新規労働力、リストラ失業者、農村からの転換労働者と在職労働者の訓練を強化している。技術学校は技術労働者の育成を主とし、同時に各種の長期と短期の訓練を行う総合的な職業訓練基地である;就業訓練センターは新規労働者と失業者を訓練する基地で、実用技術と適応性訓練を主としている。2003年末までに、全国では技術学校3167校(そのうち高級技術学校274校を含む)、在校学生数は191万人であり、一般社会向けに各種訓練を延べ220万人に行った。就業訓練センターは3465カ所で、社会訓練機関は17350カ所で、全年で延べ1071万人の訓練を行った。

就業前訓練を強化する。中国は全面的に労働予備制度を実施し、広く新規労働者の就業前訓練制度を確立実行し、都市と農村をカバーする職業訓練ネットワークを形成し、都市部絶対多数の新規労働者に労働予備制訓練を受けさせ、次第に農村新規労働者、とりわけ農業以外の産業に従事し都市部に移転する農村労働者を労働予備制訓練の範疇に入れている。2003年に、126万人の都市部で進学できない中卒、高卒者が労働予備制訓練に参加した。

労働者技能訓練を強化する。2002年から、国家は「職業訓練提高就業能力強化計画」と「国家高技能人材訓練プロジェクト」を実施し、「三年間で50万人の新しい技師(資格のある技能労働者)訓練計画」をスタートした。全社会で広く技能振興キャンペーンを行い、数多くの技術技能労働者とりわけ高級技能人材の育成を加速化し、労働者全体の就業能力、仕事能力と職業転換能力の向上を図っている。新技術、新材料、新工芸、新設備の訓練にとりわけ力を入れ、企業が差し迫って必要とする技術技能型、複合技能型人材(多能工)、およびハイテク、ニューテク発展に必要な知識技能型人材を育成しようとしている。2003年に、全国の企業在職労働者のうち、当該年度で各種の職業技能訓練を受けたものは延べ3400万人となった。

再就業訓練を強化する。中国政府は再就業訓練をリストラ失業者の再就業を促進するための一般的な制度として確立している。1998-2000年に、政府は「三年間で1千万人の再就業訓練計画」を組織し実施した。三年間に、累計でリストラ労働者1300万人を訓練し、そのうち65%の人が再就業を果たした。経験を総括したうえで、さらに第二期の「三年間で1000万人の再就業訓練計画」を組織し実施した。2001-2003年に、こうしたフレキシブルで多様な教育訓練を通じて、1530万人のリストラ失業者が再就業訓練に参加した。1998年以来、全国30の都市で創業訓練を行った。訓練指導、政策コンサルティングと追跡サービスを行うことによって、リストラ失業者は、個人経営、私営企業あるいは零細企業を創業する能力が確実に向上した。全国各級労組(工会)が設立した職業訓練機関も、累計で延べ360万人のリストラ失業者を訓練した。2003年に、全国では28万人近くが創業訓練に参加し、そのうち14万人近くが創業或いは自営業の立ち上げに成功している。

遠距離地訓練を発展する。中国政府は情報ネットワーク技術と衛星データ転送技術を使い、遠距離地訓練に力を入れている。国家は遠距離地職業訓練の全体計画の制定と実施を行い、社会的、開放的な訓練ネットワークを次第に形成させた。

全面的に職業資格証書制度を推進する

中国は1994年に職業資格証書制度を実施して以来、すでに初歩的に職業資格証書制度の法律法規とシステムを確立した。1999年に、中国政府は全国にむけ、学歴証書と職業資格証書がともに重視する制度の確立を要求した。2000年に、初歩的に就業准入制度の枠組みを確立した。現在、中国では、すでに基本的に国家職業資格に対応する初級、中級、高級技術労働者から技師(資格のある技能労働者)、高級技師までの五等級の職業資格訓練システムが確立されており、これは、労働者の生涯学習システムの重要な内容となっている。現在、全国では職業技能検定機関が8万カ所を超えており、職業技能検定員は18万人で、職業技能検定の平均合格率は84%、延べ4500万人が職業資格証書を取得した。

技能コンテストと技術優秀者の表彰活動

中国の職業技能コンテストは、国家、省と市の三レベルに分けられる。国家レベルの技能コンテストは一般的に2年ごとに一回行われる。同時に、政府、労組、企業三者が緊密に協力し、業種レベルと企業レベルの職業技能コンテストを行い、労働者の職業技能向上に努めている。2003年、全国で技術コンテストに参加した労働者は1800万人余になっている。1995年から、国家は毎年に10名の「中華技能大奨」と100名「全国技術優秀者」を選び表彰している。

4.農村労働力の就業

農村人口は中国人口の大多数を占めており、中国政府は農村の就業問題を極めて重視している。中国政府は大、中、小都市と小規模の町が協調して発展させている中国の特色のある都市化道路を堅持しており、都市と農村の経済社会発展のバランスを図るとともに、農業と農村経済構造の調整を行い、農村での就業数の増加、多種多様の措置を講じ、農村余剰労働力の非農業部門への移転の促進、都市化発展を阻害する体制と政策の障害を逐次に取り除き、農村労働力の合理的かつ秩序ある流動を促している。

農業と農村経済構造の調整

中国政府は積極的に農業と農村経済構造を調整し、伝統的な耕作以外の農村産業の発展に力を入れ、農業の総合的開発を拡大し、農業の相互的効率を向上させようとしている。国家は農業の産業化経営の発展に力を入れ、農産品の加工、販売、運輸、鮮度の維持などの産業を発展し、農業関連産業の強化に努めている。財政、税收、貸付等の優遇策を導入し、産業をリードする重要企業の加速的な発展をサポートしている。農業サービス組織の改善を奨励し、マネジャーを育成するとともに、全面的に農業社会のサービスを発展させている。中国政府は郷鎮企業(農村地場企業)の発展を、農村余剰労働力就業の解決になる重要な方法と位置付けている。この20数年間、新しい制度の創造、技術改革、合理的な産業配置と産業の高度化によって、たえず郷鎮企業(農村地場企業)の市場競争力を向上させてきた。現在、郷鎮企業(農村地場企業)は相当の規模と経済力を備え、農村経済の繁栄、農民所得増の重要な力と農村余剰労働力就業を手配する主要ルートとなった。2003年に、全国郷鎮企業は36686億元の利益が増加し、国内総生産の31.4%を占め、すでに国民経済を支える重要な柱となった;郷鎮企業は農村余剰労働力1.36億人を吸収し、農村労働力の27.8%を占めるようになった。

農村労働力の合理的かつ秩序のある流動を促す

2003年に、中国の農村労働力で故郷以外の地域に流動して就業する人数はすでに9800万人を超え、1990年の1500万人の6倍以上となった。20世紀90年代以降、故郷を離れて就業する農民は平均にして年約500万人の規模で急速に増加し、農村労働力移転の主要ルートとなっている。90年代から、中国政府は都市部での農村からの出稼ぎ労働者に対して「公平に対応し、合理的に指導し、管理を改善し、サービスを良くする」方針をとり、農民の都市部での出稼ぎに対して指導とサービスを強化し、労働協力制度、就業サービス制度、重点モニター制度などの有效の管理サービス体制を確立し、政府の情報発信による指導、管理サービスなどの機能や役割を十分に生かしている。これらを元に、公共就業サービス機関の設立に力を入れ、求人情報ネットワークを確立するとともに改善し、労働者雇用状況に関する調査を行い、即時に企業の労働力需要情報の分析を公表している。農村労働力の職業訓練を強化し、「2003-2010年全国農民工訓練計画」を制定し、7年以内に移転予定の6000万人の農村労働力に対して誘導的訓練と職業技能訓練を行い、農村からの出稼ぎ労働者の基本的能力と就業能力を向上させている。中国政府は国民経済と社会発展の大局に立ち、積極的に措置を講じ、農民の都市への出稼ぎを需要に応じて秩序ある流動と就業となるよう促している。

農村からの出稼ぎ労働者の合法権益を守る

中国政府は都市で出稼ぎする農民の労働契約の管理を健全化させている。事業主は農村からの出稼ぎ労働者を採用する場合、法にしたがい、事業主と農村からの出稼ぎ労働者の権利と義務を明確に定めた労働契約を結ばなければならない。労働力市場の整備を図り、事業主や斡旋機関に対する監督と検査、給料の支払いや労働条件などの管理を強化し、農村からの出稼ぎ労働者の権益を保障する専門的な法的検査を集中して行い、非合法の職業斡旋と虚偽情報によって農村からの出稼ぎ労働者に損害を与える行為を厳粛に取締り、有效的に農村からの出稼ぎ労働者の合法権益と労働力市場秩序を維持した。積極的に農村からの出稼ぎ労働者の社会保険が発展する方法を模索し、広東、福建、北京など主要な労働力輸入地域はすでに社会保険のカバーする範囲を農村からの出稼ぎ労働者にまで拡大、相応の政策法規を制定し、農村からの出稼ぎ労働者の労災、医療、養老などの社会保険業務を積極的に行っている。

農村労働力開発就業を試行する

1991年から、中国政府は一部の地域で農村労働力の開発就業試行プロジェクトを行うようになり、さまざま自然、経済社会条件の下での農村労働力開発就業の具体的なルート、実現方法と政策措置を模索し、各種の就業方法に相応する社会化サービス体系と組織管理形態を確立するため、政府が都市と農村就業を統一管理する政策、法規とマクロ調整方法を研究し、農村労働力の就業を促進しようとしている。現在、都市と農村の就業の統一管理、故郷にUターンして創業し、農村労働力の移転訓練と西部開発の就業の推進を主要内容とする試行プロジェクトは、すでに全国26の省市の98県と市で行われるようになった。

5.女性、若年者と身体障害者の就業

中国政府は一貫して女性、若年者と身体障害者の就業問題を重視しており、男女が平等に就業することに法律的な保障を与え、身障者の就業を保護するために積極的に優遇策を導入している。

女性の平等就業権利の保障

「中華人民共和国憲法」、「中華人民共和国労働法」、「中華人民共和国女性権益保障法」などでは、女性就業権利の保障について専門的な規定を設けている。国家は女性が男性と平等の労働権利を有することを保障し、就業における性別による差別をなくし、男女同一労働同一賃金を実行し、女性労働者が月経期間、妊娠期間、出産期間と哺乳期間は、職場においては特別な労働保護を受ける。2001年5月に、中国政府は「中国女性発展綱要(2001-2010年)」を公表し、女性就業を促進する発展目標を確定した。経済の持続的高成長および女性就業に適する産業と業種の発展に従い、女性就業者数がたえず増加し、就業領域もたえず拡大している。中国の都市と農村の女性就業者数は1990年の2.91億人から2003年の3.37億人に増え、現在、都市部女性就業者は4156万人で、都市部就業者総数の38%を占めるようになった。中国政府が経済体制改革と経済構造調整を進める中で、女性リストラ失業者が現れた。女性とりわけ中高年の女性リストラ失業者の再就業を支援するため、各級政府は積極的に女性就業に適する業種と分野を開拓し、よりフレキシブルな就業形態を実行し、さまざまな就業需要の女性に就業機会を提供している。政府の公共職業斡旋機関はリストラ失業女性に無料の政策コンサルティング、求人情報、職業指導と職業斡旋などのサービスを提供し、積極的に女性の職業技能訓練を行っている。1998-2003年に、累計1336万人の女性リストラ失業者のなか、972万人が創業と再就業を実現した。政府は婦人連合会組織が積極的に女性創業と再就業業務を行うことを支持している。1998-2003年に、各級の婦人連合会はリストラ失業女性延べ580万人を教育訓練を施し、直接に250万人の女性の再就業を実現させた。政府は生育保険制度を確立し、企業に生育保険費用の納付を義務付け、労働者個人は納める必要がないと定め、女性が平等に就業競争に参加できるよう良好な環境を作り出した。

若年者就業の促進

中国の若年者の人口規模が大きく、毎年の新規増加労働者は1千万人を超え、若年者の就業問題はますます厳しくなっている。都市部登録失業者の中、35歳以下の者は約70%を占めている。全社会の就業圧力を緩和させ、若年労働者の技能における基本的能力を向上させるため、中国政府は進学できない中卒者と高卒者に1~3年の労働予備制訓練を実施している。各種の中等職業学校で職業指導の必修科目を設ける。同時に、学生の充分な就業を促進することを目標として、職業指導、就業サービスと創業の教育の強化を図っている。大卒者の就業問題を解決するため、中国政府は大卒者の就業を促進する一連の措置を実施した。主要な内容としては、市場メカニズムを尊重し、政府による調整、学校による推薦、学生と企業の双方向選択などの改革方向を堅持し、大卒者が末端や条件の厳しい地域で就業することを奨励し、都市コミュニティと農村郷鎮を充実させている。各種企業とりわけ中小企業と民営企業が大卒者を採用することを促し、大卒者が自ら創業することやフレキシブルな就業を奨励し、彼らに税金の優遇、小額の貸付金と創業訓練を提供する。大卒者の就業サービス情報ネットワークを確立し健全化させ、就業指導と就業サービスを整える。同時に、大学が市場需要に適応して専門科目と人材育成の構造を調整することを促進している。2003年に、政府は高等職業学校卒業生の職業資格訓練プロジェクトを実施し、職業技能訓練の優良資源を集中して、高等職業学校で就職できなかった卒業生を対象に訓練とサービスを提供し、高等職業学校卒業生の自主就業に条件を作り出してきた。上海などの地域では若年者のインターンシップ計画を策定し、政府が補助を行い、社会も援助し、企業が自主的に受け入れるという原則に従い、条件のある企業で大卒者の就業実習基地を設立し、就業できなかった卒業生を組織し実地訓練を行い、就職の適応力を身につけさせている。

身体障害者の就業を援助する

中国では現在、身体障害者は6000万人おり、全国総人口の約5%を占めている。そのうち労働適齢者は2400万人である。改革・開放以来、中国は身障者の就業促進において、積極的に政府と社会の主導的役割が発揮され、身体障害者が平等に社会生活に参加するための良好な環境作りに努めてきた。中国の法律は、国家が身体障害者の労働権利を守り、政府が身体障害者の労働就業の統一企画を策定し、身体障害者の労働就業条件を作り出すと定めている。身体障害者就業の合法権益を守るため、政府は監督と法律執行を強化し、事業主が法律法規を違反し身体障害者の合法権益を侵害する行為を即時に発見し是正している。中国では、集中就業と分散就業が結ぶ方針を取り入れ、優遇策と保護措置を導入し、多くのルート、多くのクラス、多種多様の形態によって身体障害者就業を促進している。集中就業とは、国家と社会が身体障害者福利企業、療養施設、マッサージ医療機関とその他の福利的企業組織を設立し身体障害者の就業を手配することである。政府は税金減免などの優遇策によって、福利企業の発展を奨励し、さらに多くの身体障害者の就業を果たす。分散就業とは事業主が比例にしたがい身体障害者就業を手配し、そのために妥当の職種とポストを選択することである。定められた割合に達成できない場合、事業主は身体障害者就業保障金を納めなければならない。国家は各種の優遇策と援助措置を取り入れ、都市と農村の身体障害者が個人経営に就業することを奨励し、また貧困者を援助する利息のない貸付金の方法によって、一定の労働能力をもつ貧しい身障者が自主創業、または收入を増やす仕事を行うことを援助する。同時に、政府と社会組織は積極的に身障者の就業サービスを行い、身障者に無料な職業指導、職業斡旋と職業訓練を提供する。2003年末までに、全国都市部身障者の中で、就業している者は403.1万人で、そのうち集中就業になったのは109.1万人、分散就業は123.6万人で、個人経営として就業した者は170.4万人である。農村身障者の中に、すでに就業した者は1685.2万人である。身障者の就業率は83.9%に達した。

6.21世紀前期の就業についての展望

21世紀前半の20年に、中国は全面的に「小康」(いくらかゆとりのある)社会を建設する新時代に入ることになる。中国政府は、人口基数、人口年齢構造、人口推移および社会経済発展プロセスなどの諸要因の影響をうけて、21世紀前半の20年間に依然として大きな就業圧力にさらされると明確に認識している。今後20年間、中国では16歳以上の人口が年平均550万人の規模で増加し、2020年に労働適齢人口の総規模は9.4億人になる。「第10次5カ年計画」時代(2001-2005年)において、労働適齢人口の増加が最も速く、年平均1360万人増加した。労働適齢人口が持続的に増加すると同時に、現在なお1.5億人の農村余剰労働力が移転を必要としており、1100万人以上のリストラ失業者が再就業を必要としている。労働力需給の全体の矛盾が尖鋭化すると同時に、労働力の素養や能力と求人側との間にミスマッチが発生している構造的な失業問題がますます顕著になってきている。

しかし、21世紀の前半において、中国の就業問題を解決するには有利な条件があることも認識しなければならない。中国政府は就業問題を高度に重視しており、人を基本とする考えを堅持し、全面的で、調和のとれた、持続可能な発展の考え方をもち、経済社会と人の全面的な発展を促進している。これらは就業問題を解決する基本的な考え方を提供している;長年の模索と実践を通じて、就業問題を解決するためのグランドデザインや方針はすでに確立し、方向が明確になり、措置も整っている。市場メカニズムに従う就業システムが初歩的に形成し、就業問題の解決に政策と制度の保障を提供した。経済が持続的、急速かつ調和のとれたと健康的な発展を維持し、財政收入の増加も速く、経済構造の調整が順調に進められ、企業の利益が明らかに好転し、第三次産業の発展が加速化している。これらは就業を強く牽引するに違いない。西部大開発の推進、東北地区などの古い工業基地の振興、中部地区の台頭、東部地区の発展の加速化を促進する地域間の協調発展戦略の実施、および都市化の加速化は、就業問題の解決に新たなチャンスをもたらすだろう;各種の就業促進政策の実現と改善にしたがい、政策の効果が現れ、就業と創業環境はいっそう改善するに違いない;WTO加盟や対外貿易の絶えざる成長にしたがい、中国経済と世界経済のつながりがさらに緊密化することも、就業問題の解決に良好な外部環境を提供するだろう。

全体目標

21世紀前半、中国が就業問題の解決を図る全体目標は、全面的に小康社会を建設するという全体要求にしたがい、科学的な発展の考えを確立し、経済社会の発展が人的資源開発の需要に適応し、労働者が労働に参加し所得水準を向上させたいという希望を満足させ、比較的に十分な社会就業を実現し、失業率を社会が耐えうる範囲内に抑制することである。経済発展、構造改革を通じて大量の就業機会を創出し、教育訓練の強化を通じて労働者の就業能力を向上させ、中国の豊富な労働力資源の十分な開発と合理的な利用を促進していく。労働者が自主的に職業を選択し、自由に流動し、自主的に創業するためのより良い環境を作り、安定的な就業政策と制度を形成し、都市と農村の統一を図り、内外に向けて開放し、平等に競争し、規則正しく、秩序のある労働力市場を確立させ、順調な就業ルートを守る。失業率と平均失業期間を社会が耐えうる範囲内にコントロールし、労働能力と就業希望のある労働者が平等な就業机会を獲得でき、あるいは積極的に就業を準備する状況にあることを保証する。2020年には、全体の就業人口は8.4億人に達する、失業率を社会が耐えうるレベルに抑制し、大部分の人が就業する機会をもち、少数の失業者は基本生活は保障されつつ就業を待機し、社会全体が比較的に十分な就業状況になることを目指す。

主要措置

より高速な経済成長を維持し、就業と再就業をさらに重要な位置付けにする。内需拡大の方針を堅持し、国民経済の持続的かつ健全な高成長を維持し、就業拡大の強い牽引力を提供する。経済成長と産業調整政策の制定時には、就業機会の創出と就業拡大の戦略目標を重点とし、より多くの就業機会の創出を重要発展目標に据え、国民経済と社会発展計画、産業政策、財政税金政策、投資政策、金融貨幣政策などのマクロ経済政策を制定する際に、それらの目標を体現させ、国民経済の健康かつ迅速な発展と十分な就業の促進の二重目標を実現させる。

経済構造調整と就業構造の改善の調和を図り、就業の受け皿を拡大させる。産業構造、所有制構造と企業構造の調整を強化する。労働集約型産業の発展を重視し、労働力就業の拡大における労働集約型産業の重要的な役割を十分に生かしていく。第三次産業を今後の就業拡大の主要分野として確立し、サービス業の社会需要が大きく、将来性があるという優位を十分に生かし、就業拡大におけるサービス業の役割を生かす。非公有制経済の発展を継続的に支援するとともに誘導し、中小企業と多種多様の所有制経済の発展を促すための各種の政策措置を実現させ、投資と融資、税収、技術サービス、市場開発、情報コンサルティングおよび労働者育成における支援を強化し、就業と再就業の促進におけるこれらの企業が大きな役割を果たすことを支持する。国有企業改革の深化において、主要業務とそうでない業務の分離、非主要業務の民営化、余剰労働者を分流配置し、国有企業改革、経済構造調整と就業構造調整の調和のとれた発展を実現する。

都市と農村経済社会の調和のとれた発展を堅持し、都市と農村の就業をともに重視する。大、中、小都市と小規模の町が調和の取れた発展を堅持し、中国の特色のある都市部化の道を歩み、都市部化発展に不利な体制と政策の障碍を取り除き、農民のためにより多くの就業機会を創出する。農民が都市に入り就業することへの規制を撤廃し、都市と農村の労働力市場を逐次に統一させ、指導と管理を強化し、都市と農村労働者の平等就業の制度を形成させる。法にしたがい、農民出稼ぎ労働者の合法の権益を守り、農村余剰労働力の安定かつ秩序のある移転を誘導する。郷鎮企業(農村地場企業)の改革と調整を推進し、農村経済を発展させ、積極的に農村での就業機会を拡大させる。

労働者の自主就業が主とし、政府の法律制度を基礎とする市場就業システムを確立する。労働力配置における市場メカニズムの基礎的役割を十分に生かし、とりわけ労働者の自主就業を主とする新しい局面を形成しなければならない。労働力需要が多様化する傾向に適応し、フレキシブルで多種多様の就業形態を推進する;創業環境を改善し、個人の創業を奨励し、創業をもって就業を牽引する;政府公共就業サービス機関の設立を全面的に強化し、職業斡旋、職業指導、職業訓練を強化し、質の高い就業サービスを提供する。法制度の確立を強化し、政府の就業促進の責任を明確化し、企業の労働者使用と労働力市場秩序の規範化を図り、労働者の平等に就業する権利の実現を保障する。労働力市場の育成を加速化させ、労働者の自主就業を主とし、市場調整を踏まえた、政府の就業促進を牽引力とする就業システムを確立させる。

教育水準を高め、職業訓練を強化し、人材育成能力の水準を経済発展の要求に適応させる。各種の教育資源の役割を十分に生かし、人材育成能力を強化し、基本的能力のための教育の推進に力を入れ、実践能力の育成を重視し、教育の質の向上に努め、社会主義近代化建設のために、数億人単位の質の高い労働者、数万人単位の専門人材と多くの創造型人材を育成する。市場需要と労働者の質の向上の要求に適応し、基礎教育を強化し、高等教育を積極的に発展し、職業教育、成人教育とその他の継続教育の発展に力を入れ、社会化した生涯教育訓練のシステムを次第に形成させる。経済発展と科学技術の進歩にしたがい、労働者の知識水準と労働技能への要求が日増しに高まることに適応し、職業教育構造をさらに調整し、重要視していくことで、近代職業教育システムを確立させ、技術労働者とりわけ高級技術労働者と技師(資格のある技能労働者)の育成に力を入れる。農村経済構造調整と農村余剰労働力移転の要求に適応し、農民の基礎教育と各種の専門技能訓練を重視する。労働予備制度と就業准入制度を全面的に実施し、若年労働者就業能力の向上と労働力供給の調整の二重目標を実現する。職業資格証書制度を確立改善し、学歴証書と職業資格証書をともに重視する制度を推進し、全社会のあらゆる技術的な職業と職種においてすべて職業資格証書制度を実施し、学校教育から社会での就業を緊密に連結することを実現する。

合理的に社会保障と就業を手配し、困難を抱える労働者に基本生活保障と就業援助を行う。失業保険制度と都市住民最低生活保障制度の改善を通じて、困難を抱える労働者の基本生活を確実に保障する。就業援助に力を入れ、困難を抱える労働者の特徴に適応した就業機会とりわけ公益における就業機会を開発し、企業の採用を促す優遇策や、無料の就業サービスなどの政策を打ち出し、困難を抱える労働者の再就業の実現を促進する。

対外開放の度合いを向上させ、中国の労働力資源の優位を生かす。優位をもつ労働集約型農産品の生産と加工に力をいれ、組織していく。たえず高技術や高付加価値工業製品の輸出を増やすと同時に、労働集約型産品の輸出競争力と市場シェアの向上に努め、国内就業機会を維持し増加させる。外資が労働集約型産品或いは労働集約型と資本集約型が結ぶ産業へ投資するように合理的に誘導し、できるかぎり就業機会を増やす。「走出去」(打って出ていく」戦略を積極的に実施し、国際労働市場の開拓に努める。

出所

  1. 新華網(訳:徐向東)

2004年6月 中国の記事一覧

関連情報