PTDI社、テキスマコ社、BNI、各社のスト、解雇問題の続報
国営航空機製造会社PTDI社
「2003年10、12月インドネシア労働情報」でお伝えした、PTDI(ディルガンタラ・インドネシア)社の従業員解雇と退職金に関する争議がようやく解決の兆しを見せている。
ハビビ元大統領が代表を務めていた同社は、2003年7月、財政悪化から全従業員9670人のうち2000人の人員を削減する方針を打ち出し、工場も一時閉鎖、生産を停止させていた。労使の協議においては、労組側の解雇数の削減と退職した場合の退職金額をめぐって長い争議が続いていた。労組側は法定退職額の4倍に相当する2億ルピア(注1)を要求し、妥協を許さない姿勢であったため、両者の交渉は平行線をたどり、政府が介入するという事態に陥っていた。
その後の協議では、銀行再編庁(IBRA)指導の下でPTDI社の資産の売却益から退職金を出資することが決定した。最終的に11月14日の閣議決定において、同社の従業員が解雇されることは決定したが、解雇者数などはまだ明らかになっていない。
家庭用品製造大手テキスマコ社
「2004年1月インドネシア労働情報」でお伝えした西ジャワ州の家庭用品製造大手のテキスマコ社は、巨額の債務を抱え倒産の危機に陥っており、数千人規模の従業員の解雇の問題が取り上げられていた。現地紙の報道によると、西ジャワ州のインドネシア繊維業者協会(API)が同社の繊維部門に対して、API加盟企業数社のチームが資金を提供し、救済運営を行っていくことが決定したという。救済に参加するのはAPIに加盟する西ジャワ州の企業約100社で、救済額(投資額)は約4000億ルピアと伝えられている。
APIがテキスマコ社を救済する理由として、同社が数千人という大量の雇用者を抱えている点、そして同社の繊維部門が生産している糸の供給が停止してしまった場合、州内の繊維業者の営業にも大きな影響を与えるという点が挙げられている。
銀行大手バンクヌガラインドネシア(BNI)
短期雇用契約社員の契約更新を10年間行い、2003年、契約の再更新を行わないとする経営者に対して、契約社員が抗議していた銀行大手のBNIは、最終的な判断として、短期契約ベースの従業員を全員解雇することを明らかにした。
インドネシアの場合、短期雇用契約は基本的に1年間単位であり、それ以降は1度だけ再更新が認められている(つまり最長2年間の雇用契約)。その後は正社員として再雇用を結ぶか、解雇されるかの二者択一となる。そのため、上記のような1年間の雇用契約の10回更新というケースは違法であり、この問題にどのように対処するのかが注目されていた。
BNIの短期雇用従業員のほとんどは女性で、約500人に上る。この問題に対処した労組のリナ代表は、今回の政府と使用者側の解雇の判断に失望しており、労働法に違反した経営側の責任が問われないことは疑問である、とコメントしている。
ヤコブ労相は、労働者保護に関する2003年労働・移住大臣通達第13号によって、今回経営側が契約を終了することは合法的であるが、解雇される従業員を新規雇用という形で再雇用することが望ましいとの意見を述べている。
注
- 100ルピア=1.41円、2004年1月19日現在
2004年2月 インドネシアの記事一覧
- 2004年の最低賃金:ジャカルタ6.3%、東ジャワ平均9%引き上げ、バタムは交渉難航
- PTDI社、テキスマコ社、BNI、各社のスト、解雇問題の続報
- 海外出稼ぎ労働者(TKIs)のための公的保護機関設立
関連情報
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