雇用情勢の悪化と平均収入の低下が進行

カテゴリー:雇用・失業問題労働条件・就業環境統計

ブラジルの記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年2月

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が6大首都圏で行う月間労働市場調査は、2003年9月も状況が悪化したことを明らかにした。公式失業率は2003年8月の13.0%が9月に12.9%と、ほぼ横ばいを保っている中で、就労者の平均収入は、前年同月比で14.6%の低下となっている。資料院の調査担当者は、例年9月は年末商戦に向けた生産により、年間を通じて最も雇用が拡大する時期でありながら、2003年はさらに悪化が進んだと、驚きを表している。平均収入は前月(2003年8月)比でも2.4%減少し、過去12カ月間に創出された新雇用77万2000人のうち、わずか2.4%が正式雇用で、その他は収入の低い非公式就労であった。非公式就労の大部分は街頭の物売り、自営からなっている。

中央銀行が毎週市中金融機関の予想を集めて計算する経済予測では、2004年のGDP成長について市中銀行は0.5~0.7%と予想しており、エコノミストによると年間5%の成長を持続して達成した時にのみ新雇用拡大が期待できるとしており、当分労働市場の好転は難しい。6大首都圏の失業者は2002年9月の230万人が2003年9月は280万人へと19.6%増加し、これまで非経済活動人口であった年金生活者や学生が、世帯の収入低下を補うために就職先を探しており、悪材料の方が多くなっている。

また、平均収入を金額で表すと、2002年9月の977.23レアル(約325.74ドル)は、2003年9月に823.20レアル(約274.40ドル)へ低下している。調査担当者によると、家族収入が低下した後、家計の不足を補おうとして急きょ就職した場合、月給200レアル(66.67ドル)以上の収入を得ることはまれとなっていると報告しており、給料水準の低下の激しさを物語っている。

2004年2月 ブラジルの記事一覧

関連情報