社会保障局、所轄9法人の社会保障費の使途監視を強化

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2004年1月

労働省の社会保障事務局(SSO)は、同局所轄の9法人について労働組合や市民団体から、会計監査が不適切であると指摘されたことを受け、今後これらの法人への使途監視を強化していくことを明らかにした。特に、社会保障基金から出資されている職業訓練プログラムに関しての批判が強かったという。社会保障制度の拡充に力が注がれている現在、その資金の使途の透明性が求められている。

SSO所轄法人の会計監査を強化

SSOのパイロイ事務局長は、2003年以降複数の労組や市民団体などから、同局所轄の9法人が実施している「労働者の権利に関する訓練制度」の運営方法と資金の使途に関して調査を行うべきであるとの要請があったことを報告した。9法人の具体的な名称は明らかになっていないが、これらの機関に分配された資金は今年度合計で800万バーツに上り、そのうちどの程度が使途不明金となっているかなどはまだ調査中であるという。

タイ労働組合会議(LTC)のプラチュアン議長は、この問題をもっと早く公表すべきであったし、またSSOが所轄法人の会計監査を行わないことは大きな問題であるとコメントしている。

基金の重要性

社会保障基金は1990年の労働者保護法をもとに運営され、労災、医療、障害、出産、死亡、児童手当、老齢年金など項目に関する保障を担うタイ国内最大の基金となっている。 2002年から社会保障基金の適用対象枠が従業員10人以上から1人以上の事業所へと改正されたことに伴い、同基金への加入者数が増加し、現在は労働者人口の約2割の690万人とされている(2002年10月の数字)。これは約3000万人の労働力人口のうち、非農業人口の約25%に当たる。

基金の原資は、政労使の三者で負担されている。2003年から新しく導入された失業保険も、一時的に(2006年まで)は政府の負担が予定され、この基金の一部から支給されることになっており、基金の資金運営および資金の使途が厳重に監視される必要性が高まっている。

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