日本で出稼ぎするタイ人女性、毎年50人近くがエイズで死亡

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在日タイ大使館が2003年11月2日付の現地紙「バンコク・ポスト」に発表したところによると、日本国内で売春業に携わったタイ人女性が、毎年50人近くエイズによって命を失っているという。

日本で働くタイ人女性

在日タイ大使館のカシット氏によると、大使館は2003年において10月までに、エイズで死亡したタイ人女性50人の遺灰をタイへ搬送したという。またエイズの末期状態で大使館に支援を求めやって来る女性も月平均で2-3人になるという。

カシット氏の説明によると、こういった女性の多くが、日本人男性との結婚のため来日し、夫とその家族に仕えなくてはならない「男性優位」の社会になじめずにいる。そのため、離婚に至り、生計を立てるために性産業へ従事せざるをえない状況に陥ってしまうという。また、各村を回って宣伝活動を行う仲介業者らによってリクルートされた東北部や北部の農村女性が、日本男性との結婚や出稼ぎを勧められるケースが多く見られるということだ。

また、ある研究調査によれば、出稼ぎに来たタイ人女性は、平均して100万バーツの債務を負って、それらを性産業に従事しながら2~3年で返済していくケースが最も多い。彼女たちは1日に8~15人の相手をするため、エイズを含めた性的感染症にかかる確率が非常に高いといわれている。

タイ政府とNGOの取り組み

カシット氏によると、日本へ出稼ぎに行った娘を持つ両親やタイのNGOからの強い働きかけにより、現在、日本への出稼ぎに来たタイ人女性を性産業へ産入させないような運動が進められているという。タイ政府も、タイ人女性や海外で不法就労しているタイ人への職業訓練サービスを提供するための基金を設立する予定があるということだ。

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