堅調続く労働市場

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  • 国別労働トピック:2004年1月

政府が2003年10月に発表した雇用統計によると、同年7月の求職者手当申請者は前月よりも6900人減って93万800人となり、1975年9月以来の低水準を記録した。また雇用者数も6万3000人増えて2793万人となり、高水準を維持している。

7月の失業率はILO基準で5.1%であり、3カ月間変わっていない。賃金上昇率は3.1%から3.4%に上昇したが、イングランド銀行が天井としている4.5%を超えていない。

こうした結果を受けてイングランド銀行は、利子率は現在の3.5%から上昇するとの見方を示しており、シティーのアナリストも、労働市場のひっ迫が続くようであれば利子率は上昇するだろうとしている。

労働市場の堅調さは、採用・雇用連盟の調査でも窺える。同連盟は、採用コンサルタント8000人と採用仲介者6000人を代表しているが、その調査によると、この2年半の間に就職斡旋の成約件数が、急速に増えているという。

長期雇用と短期雇用に分けてみると、双方で就職斡旋は増大しているが、どちらかといえば企業はフルタイム・スタッフの採用に傾いているようだ。

同調査からはさらに、民間での採用が改善していることも窺える。近年の傾向として民間部門の雇用創出は小さく、それを公共サービスへの投資増とそれによる採用増によって補ってきたが、2003年6月までの1年間に関しては、公共部門の採用は18万1000人から20万3000人へと小幅な伸びにとどまっている。

賃金動向についても、同調査は政府統計を支持している。同調査が採用している賃金指数は51.2から52.6へとわずかに上昇しているにすぎず、労働市場がひっ迫している割には賃金水準は緩やかにしか上昇していないことを示している政府統計を裏づけている。

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