全米鉄鋼労組(USWA)、グッドイヤー社の新協約交渉、漸く決着
今年4月にグッドイヤー社をターゲット企業に選定して、進められていた全米鉄鋼労組(USWA)との協約改定交渉は、4月19日の期限切れを過ぎてもまとまらず、企業側のコスト削減策提案に組合側は反対、6月にいったん交渉が決裂し、ストライキの危機もあったが、8月20日にようやく暫定合意に達した。
新協約は、3年協約で9月15日に組合投票を経て、正式に承認された。今回の協約は、1万9000人の米国内のグッドイヤー社、ケリースプリングフィールド社、ダンロップ社で働く組合員、および2万人の退職者に適用される。協約の主な内容は以下のとおりである。
- 雇用:組合員の雇用を保障する形でアラバマ・ハントビル工場を閉鎖。アラバマ・ハントビル工場の従業員はUSWA傘下のゴッドソン工場に配置転換されるが、会社は、USWA加入ではない工場から100万本のタイヤ生産をゴッドソン工場に移管する。テキサス工場も生産目標値を達成できない場合閉鎖。但し、残り12工場は操業継続を保護される。
- 賃金:賃金に関して、物価調整手当(COLA)は従来どおり実施するものの、基本給は3年間凍結となる。会社の収益の10%が労働者に還元される。
- 失業保険の企業の負担分について、時間当たり0.2ドル追加する。
- 医療保険:従来の医療保険給付を優先医療給付機構(PPO)型に切り替える。また、医薬の処方箋代の補助として、30日を上限として1回の処方について、一般医薬品の使用について、組合員および退職者は10ドルを負担し、新薬の使用については組合員は25ドル、退職者は20ドルの自己負担が必要になる。
- 年金:2003年5月1日以降の退職者について、2006年2月からの支給額は50ドルから55ドルへとその乗数を1割増額する。ただし、2006年までの2年間については、凍結し、年金計算から除外する。退職者に一時金として1620ドル支給するほか、月額185ドルを医療保険負担分として徴収する。
- 負債の返済計画など広い範囲にわたり経営に組合代表が参加する。組合代表として1人を取締役会に指名することができる。
また、このほかにも、組合員の技能向上のための訓練計画を図る労使委員会を立ち上げ、2006年1月実施をめどに計画を策定すること、新規採用者への組合オリエンテーションを行う時間の確保すること、レイオフに当たっては組合員優先に基づき、労働者の勤務記録を公正な一貫性のある方法で審査することなどが盛り込まれている。
USWAは、1工場の閉鎖という結果にはなったものの、国際競争でタイヤ・ゴム産業が置かれている立場を考えても、米国製造業で職が失われている状況からも、雇用の確保を優先的に達成できたことを評価するコメントを発表している。
2003年12月 アメリカの記事一覧
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- 全米鉄鋼労組(USWA)、グッドイヤー社の新協約交渉、漸く決着
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