退職年金改革法:憲法評議会が有効と判断

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  • 国別労働トピック:2003年11月

社会党の下院議員と上院議員は、退職年金改革法(フィヨン法)が国民議会で可決された後、違憲審査請求の訴えを起こしたが、8月14日に憲法評議会がこれを退けたことにより、この法律は最終的に成立した。

社会党は、「この法律の一部の規定が平等の原則を侵害しており、男女の同一の権利に留意していないばかりか、各職業の苦痛度を考慮していない」とし、7つの条文が憲法に違反していると主張していた。しかし、憲法評議会はこの日、「申請者による異議申し立てをすべて却下する」と言い渡した。

社会党は、一般制度に関して、女性には子ども1人につき2年間拠出期間を短縮するのに、男性にそれを認めないのは、法の前での市民平等の原則が損なわれていると主張した。これに対し、憲法評議会は判決を要約したコミュニケのなかで、「立法府は原則的に、子どもの教育と結びつけられる社会的特典の付与を両親の性に依存させることはできないが、この場合、女性が対象となった不平等―とりわけ、女性が男性よりも職業生活を中断させることが多いという事実―を考慮する必要がある」と応じた。

判決は、2001年に、女性の平均被保険期間は男性のそれよりも11年(3分の1以上)短いと指摘した。そして、憲法評議会は、平等の原則への例外を正当化する一般的な利益とこのような規定を廃止する社会的な影響を比較して、最終的にこの法律が維持されるべきだと判断した。

一方で、社会党は父親への適用拡大を義務づけるように求めていたが、憲法評議会は「憲法によって与えられた権限を超えることなしに、そうすることはできない」と判断した。結局のところ、「求められている措置は、現状では、男女間にすでに確認されている大きな格差をさらに拡大することにしかならない」というわけだ。

社会党はまた、法律が仕事の苦痛度を考慮していないと異議を唱えた。しかし、憲法評議会は、「憲法の要求は国民連帯政策の実施を前提としているので、立法府で、この要求を満たすために、適切と考えられる具体的な方法を選択することは可能である」と判断した。

さらに、満額の退職年金を手にするために必要な被保険期間をデクレ(政令)で変更できる権限が法律で政府に与えられたことも、社会党は批判していたが、これも異議申し立て者が不十分に理解していると判断された。「法律は適用可能な規則を定めるものであり、退職年齢での平均余命がどのように推移していくのかを立法府は知ることができない」として、憲法評議会はこの異議申し立ても退けた。

今回の判決は社会党にある種の苦さを残した。スポークスマンのパスカル・テラス氏は、「法律は決して完全ではない。国会で6週間の審議を必要とした法文は憲法評議会でさらに深い検討を行う価値があるのに、その拙速な判決に驚かされる」と不快感をにじませた。憲法評議会は判決までに1カ月の期間をかけたが、一部のメンバーは海外協力職務のために作業に参加できなかった。

オランド社会党第1書記は、「われわれが唱えている異議は、司法的なものではなく、政治的で社会的なものなのだ。したがって、われわれが責任ある立場に復帰した場合には、必然的に法文の見直しに着手することになる」と言明した。

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