児童労働の撲滅を4~5年以内に:ILO勧告

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  • 国別労働トピック:2003年10月

ILOは2003年7月8日、インドネシアにおける児童労働者数の増加を重く見て、今後4~5年内に、売春、製靴、漁業、麻薬の売買などにかかわっている140万人の児童労働を撲滅する必要があると指摘した。インドネシアは1998年に児童労働の撲滅に関するILO条約182号条約を批准したが、経済的・政治的状況から条例を順守できていないのが現状だ。

新労働法にも、15歳未満の就労と、18歳未満の夜間就労を禁ずる条項が盛り込まれたが、それを監視することは難しいと見られている。

ILO、政府に児童労働問題に関して勧告

国際労働機関(ILO)は2003年7月8日、インドネシア政府に対し、同国で増加している児童労働の問題を4~5年以内に解決するように勧告した。ILOのカルメロ・ノリエル主任技術アドバイザーは、インドネシアが1998年にILOの児童労働禁止に関する第182号条約の前進となる138号条約を批准済みであることに触れ、政府は非人道的な児童労働の慣行を廃止する政策を早急に打ち出す必要があると述べた。

ILOの2002年推計によると、世界中で2億5000万人の児童が労働に従事しており、そのうちの約6割、約1億2700万人がアジア太平洋地域の児童(5~14歳)であるという。児童労働は、売春、製靴産業、漁業、麻薬の製造と販売などの分野で多く見られるという。

ILOおよび児童労働撲滅国際計画(IPEC)による2001年のレポートによれば、インドネシア国内には少なくとも140万人の児童労働者が存在し、そのうち23%が15歳以下だと見られている。そのためILOとIPECでは、児童労働撲滅のためのキャンペーンとして、450万米ドルを支援し、国内の大学と提携し、児童労働に関する調査を行うことが決定している。

また、女性雇用に関する国務大臣局の報告書によると、1997年の経済危機以降、300万から600万の児童が親からの保護を受けられず、生活難から危険な労働に従事せざるをえないという実態が明らかになっている。

政府の対応

現在政府は、新労働法「2003年第13号法」を補足する、18歳未満の危険な場所での就労を禁止する法案を作成しており、8月にも施行されると見られている。インドネシアの労働法では、18歳未満を「児童」と規定しており、労働・移住省の発表によると、フォーマルセクターで働く児童は約50万人、インフォーマルセクターでは約250万人と見られている。今回の新労働法では、危険な部門の就労として、電力や発電所での作業、重機械の使用を伴う作業、縫製、地下工場での作業、放射線物質・化学薬品・ウイルスおよび家畜の取り扱いなども禁止する。また、ナイトクラブでの就労やアルコール販売なども禁じられている。一方、児童を雇用した使用者に対しても最大5年の禁固刑もしくは最大5億ルピアの罰金が科される。

ヤコブ労相は、各州・県の労働局も同様の児童労働廃止のキャンペーンを行っていくことを明らかにした。そして東カリマンタンに「児童労働撤廃ゾーン」という世界で初めての工業地域を設置し、順次ゾーンを拡大させていく予定であると述べている。

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