労働社会保障部、都市非常勤労働者の就労、社会保障に対する指導的意見を発令

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年9月

労働社会保障部は、2003年6月、「非常勤労働者の雇用上の問題に関する意見」を各省に下達し、市場経済化の中で増加する非常勤労働者の保護に乗り出した。

1 通達の内容

「意見」の対象労働者は、平均就労時間が1日5時間以内、1週間で30時間以内の労働者で、こうした労働者を対象とする労働契約、賃金の支払い、各種社会保障制度への加入、労働争議の処理に関して指導的意見が発令された。

(1) 労働契約の内容

労働者が書面で労働契約を交わすことを要求した場合、雇用側は応じなければならいとされ、雇用契約には、次の5項目を入れることが求められている。

  1. 就労時間と契約期間
  2. 仕事の内容
  3. 労働報酬
  4. 労働保護
  5. 労働条件

労働契約の終了は、双方で取り決めた方法で実行しなければならないとされ、雇用契約において、契約の終了の事前通告期間を設けていない場合は、随時相手側に雇用の終了を申し出ることが出来る。双方のどちらかが労働契約に違反した場合は、損害補償をする責任を負うことを明記している。

また、今回の意見では、非常勤労働者は、複数の勤務先と雇用契約を結んで良いと明確に規定された。

政府は、雇用単位の監督を容易にするため、雇用単位に対し、非常勤労働者の雇用開始後、当該地域の労働社会保障所轄部門に報告する義務を課している。

(2) 賃金

「意見」では、使用者側は、1時間単位で賃金を支払うことを義務とし、時給は当該地域の労働社会保障部門が定めた1時間当たりの最低賃金以上でなければならないと規定した。

(3) 社会保障制度への加入

非常勤労働者から強い要望のあった社会保障制度への加入は、非常勤労働者側の要請を大幅に受け入れたものとなっている。

「意見」では、基礎養老年金制度への加入は義務化され、加入資格は、原則的には当該地域の個人自営業者の加入条件を参考とするよう指導している。基礎医療保険制度については、労働者が希望すれば加入できるようになった。労災保険制度については、加入を義務化している。

(4) 労働争議の処理

「意見」では、各級の労働社会保障部門に対しても、非常勤労働者の雇用監督業務を重要視するよう要求している。特に、各級政府の社会保障制度機関は、非常勤労働者の合法的権益を保護し、各種の社会保障制度に加入できるように便宜を図ることが求められ、また、各級政府の職業紹介機関は、非常勤労働者の档案を保管、各種社会保険手続きの代行事務などのサービス提供を要請されている。

2 今後の見通し

今回の「意見」の内容は、まだ初歩的段階であり、具体的な内容については「当該地域の実情に基づいて処理する」などの表現も多い。また、不履行者に対する罰則規定が曖昧である。労働市場において、圧倒的供給過剰の現状において、使用者側が、どの程度、今回の「意見」を重要視するか不確定である。

このため、政府は、増加し続ける非常勤労働者に対し、更なる保護政策を実施する必要があると見られている。

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