鉄鋼産業で5年協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年8月

全米鉄鋼労組(USW)は、5月19日、USスチール社と新たな5年間の労働協約を締結した。新協約の有効期間は2008年9月1日まで、USスチールの労働者1万3000人とナショナルスチールの労働者6800人がUSスチールの社員になった時に適用になる。新協約の主要なポイントは、退職者への年金と医療費の扱いであり、USスチールの退職者の年金および医療費については、従来同様に同社が負担する。しかし、ナショナルスチールを退職したUSWA組合員に対する年金、医療費の負担額は、同社の収益に依存し、全額は補償されないことになる。引き換えに、自主退職を選択した労働者への相応の一時金の支給、両社の経営陣を合理化すること、USスチール社は粗鋼生産を含む鉄鋼産業の長期投資に関与することなどの内容が盛り込まれている。

今回のUSスチールによるナショナルスチールの買収の契約は、基本的にはインターナショナルスチールとベツレヘムスチールやLTVスチールの場合をなぞっており(本誌2003年3月号参照)、2002年3月の鉄鋼輸入関税の導入以来の鉄鋼産業への保護政策が意図したとおりの産業再編をもたらしたと指摘されている。

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