IMF勧告の労働関連事項

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

インドネシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2003年4月

政府は2003年1月20~23日、IMF(国際通貨基金)代表団と経済改革プログラムに関しての協議を行い、覚書改訂について話し合った。経済危機以後、8回目となるこの協議では、焦点は主に銀行の政府保有株売却や労働問題におかれ、金融以外のマクロ経済問題が中心となって会合がもたれたのは珍しいケースといえる。

高い失業率の解消が最重要課題

1月18日、IMF代表はヤコブ労・移相と初会談を行い、不完全就労を含めると労働人口の半数が失業状態にあるとも言われる国内の慢性化した失業問題に強い危機感を表した。そして早急な雇用創出政策を打ち出すことを要請した。

これに対し、ヤコブ大臣は、1.数十万規模の雇用創出プログラムの実施 2.大規模農園(プランテーション、エステート)の開設 3.失業者への中小事業立ち上げ支援 4.農村部での熟練労働者養成プログラムの実施、という4本柱でこの問題に対処していく考えを明らかにした。

インドネシアの場合、人口増加率が高いため、毎年300万人ずつ労働人口が増加している。これらの人口を吸収するためには、毎年6~8%の高い経済成長率が必要となってくる。しかしながら、2003年の経済成長率予測は、多くの機関が3%前後を見込んでおり、経済成長のみでは雇用吸収が難しいことは明らかである。

2002年からインドネシアへの海外直接投資(FDI)は大幅に減少しており(詳細は本誌2002年11月号参照)、海外からの投資やそれによる雇用創出も期待薄となる可能性は高い。

また、同代表団は、199年から成立が延期となっている新労働法の早期成立を強く要請。同国で問題となっている頻発する労使紛争を回避し、健全な労使関係を構築するために、不可欠な法制度であることを伝えた。

ヤコブ大臣は、雇用創出が最優先課題であるが、同法の早期成立にも努力していることを明らかにし、労働・移住省の雇用創出プログラムの予算3200億ルピアでは十分ではないことを説明し、IMFからの支援を仰いだ。

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