労組が自動ベア制度要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

月間2桁の猛インフレ時代にブラジルは、前月の物価指数で物価、給料、料金など全てを自動調整して、目減りを回避する「指数化」があらゆる面に採用されていたが、国内の2大中央労組であるCUTと2位の規模にある中央労組フォルサ・シンジカルは、自動調整とインフレが一定水準を越えるごとに自動調整する方式を要求している。フォルサ・シンジカルでは、サンパウロ州の所属金属労働者70万人の2002年11月1日の年間労働協約更新日を迎えて、政府の公式物価指数による給料の自動調整、あるいはインフレが3%累積するごとに自動調整する制度の復活を要求した。同中央労組は10月までの過去12カ月間にインフレを10%、2003年第1四半期のインフレを5%と予想し、15%のベアを要求している。これから同中央労組所属の業種別組合は商業、繊維、科学など、総計250万人の年間調整を控えているために、金属労組の要求を貫徹して前例を作ろうと考えているが、使用者団体では、過去に経験したとおり、単純な指数化はインフレを煽るばかりで、決して労働者の実質所得向上にはならないと回答し、労組の要求に応じる意思は見せていない。中央労組と使用者団体が正式に、指数化契約を結ぶと、影響が大きくなるために、指数化を契約する見込みはないが、実際には、各企業内で、給料調整が行われる場合は、過去12カ月間の物価指数が、先ず第一に考慮されており、実際にはほとんど指数化されているに等しい。2002年下半期に調整期を迎えた企業は、景気後退と、大量失業時代と言われながら、年間9%以上を維持している公式インフレ指数で調整を受けている。CUTでは、インフレが3%を越えるごとに自動ベアを行い、これとは別に過去の累積インフレ損失分として実質10%のベア要求を、2002年12月までに年間協定が更新される業種の要求事項に掲げている。しかし企業家団体は、経済低迷を理由に実質ベアなど考慮していない。自動車部品工業では9月までに2002年の売り上げは11%低下し、設備遊休率は37%に達して、2000人を整理しているために、ベア要求が強まるほど今後の回顧が増加すると予告している。

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