年金受給を先送りした者に、20%の増額措置

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年12月

労働者に対し、年金の受給開始の先送りを奨励するために、イタリア政府は、賃金の約5分の1に相当する税金および社会保険料の引き下げの助成措置を検討している。この助成措置の実施に伴い、アマート法の75条を修正し、65歳まで企業にとどまるか否かを決定する権限を、労働者のみに与える予定である(企業の同意は不要)。65歳(公務員に関しては67歳)を超える場合には、使用者の同意があるときにのみ、年金受給を延期することが可能ということになる。

専門家によって考案された今回の措置は、賃金の約20%に相当するものである。今回の措置により、これまで手取の月収が1000ユーロであった労働者は、月に約200ユーロ手取の報酬が増える可能性がある。措置の対象となりうるのは、社会保険料を35年以上納付した官民の労働者のすべてである。措置の内容は、保険料負担の軽減(労働者負担分について約10%減、使用者負担分について約1%ないし1.5%減)と、租税負担の軽減(労働者について約3分の1減)である。

今回の措置は、弾力性を可能な限り高めることを目標としている。この点を反映して、措置の利用を選択した労働者でも、選択を変更できるような仕組みが取り入れられる予定である。もう1つ重要な点は、労働者のみに属する無条件の選択権である。アマート法の75条は、退職し退職手当を受け取る労働者が労働を継続しようとする場合、改めて2年の契約を締結する必要があると定めており、そのための使用者の同意を要求していた。しかし、この仕組みは、とても複雑であるため、まったく機能していない。社会保障改革に関する委任立法によって、この点が変更されるよう求められている。

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