調査結果:時短で1996年以降に30万人の雇用創出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年12月

2000年および2001年のデータに基づく労働時間の短縮に関する報告書案がフィヨン社会問題相によって労使当事者に示された。第2オブリ法に基づく最終報告書は政府によって国会へ提出される。

交渉の推移

この資料によると、2001年末には860万人の労働者が時短導入企業で雇用されていた。これは営利部門と非営利部門の労働者全体の53%に相当する。しかし、企業規模別に見ると、大きなばらつきがあった。たとえば、従業員が200人を超える企業では、90%以上の労働者がすでに週35時間制を享受していたが、従業員21~49人の企業だとその割合が40%となり、従業員20人以下の企業は10%に及ばなかった。週35時間制への移行はほとんどが企業交渉に基づいて行われ、1998年以降は毎年3万5000協約以上が締結された。確かに、2000年以前の場合、時短への中心的なアクセス方法は企業協約だった(部門協約の直接適用は4分の1未満)が、それ以降に傾向は逆転し、部門協約の直接適用が6割以上に達した。これは零細企業における時短の導入が進んだことによる。

労働時間の弾力化

約半数の事業所と約6割の非管理職労働者の場合、時短は年間の休暇日数を増加させる形で実施された。大企業ではとくにその傾向が強い。小規模な事業所の場合、週に1日を半日出勤にしたり、隔週出勤による時短が一般的だ。大企業で時間貯蓄勘定について交渉が行われるのはかなりまれで(労働者の14%)、その場合も常に他の時短方法と結びつけられている。管理職の場合は、時短日の付与が大企業などで最も普及している(67%)。また、労働日数請負制の対象になっている管理職も6割程度に達していた。管理職の平均請負労働日数は212日で、法定最大労働日数を5日ほど下回っている。変形労働時間の導入もかなり普及しており、38%の労働者がその対象となっている。

時間外労働がまだ多い

従業員10人以上のフルタイム労働者の所定集団労働時間は1996年から2001年末までに2.9時間(7.5%)減少し、36時間になった。実労働時間の減少幅はもう少し小さいが、それは時短奨励補助を受けていない企業が新しい法定労働時間に合わせるために実労働時間の計算方法を変更することができるからだ。

時間外労働への依存は、変形労働時間の実施のためもあって、週35時間制への移行とともに減少している。週35時間制への移行によって、構造的な時間外労働慣行は少なくなっているが、事業量の増大に対応して行われる景気循環的な時間外労働はその限りでない。合計すると、時間外労働は依然として長時間にわたっており、2000年の場合、年間130時間を超えた労働者が1割程度存在する。

雇用創出は30万人

2000年の時短は賃金の削減をほとんど引き起こさなかった。2000年に週35時間制へ移行した労働者の98%において、基本報酬は完全に時間賃金の上昇もしくは特別手当の支給によって埋め合わされていた。しかし、その3分の1の労働者の場合に、報酬の補償と同時に賃金凍結が実施された。先駆的企業でより厳しい賃金方針が採用されており、賃金凍結や賃上げ抑制がより長期にわたる。報告書は2001年に賃金交渉が復活していることを指摘しているが、「激化することはなさそうだ」と付け加えている。

四半期調査データに基づいて、1996年から2001年までに週35時間制へ移行した企業と週39時間制にとどまった企業を比較すると、「時短と社会保険料の軽減に帰する雇用創出を30万人程度と推計することができる」という。この時期の雇用増加数全体が165万人なので、その18%に相当することになる。

この数字の半分は2000年に実現されている。2000年は景気の好調さのために最も多くの労働者が週35時間制へ移行した年である。

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