高賃金だが労働時間も長い外国投資企業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)は、2002年に140万人の雇用創出を計画している。2001年の、都市部の失業率は6.28%(2000年から0.16ポイント減)、農村部では、労働者の労働時間の25.5%が労働に使われていない。MoLISAは2002年末までに、これらの数字をそれぞれ6.2%、24%まで低下させ、さらに2005年までには、750万~800万の雇用を創出し、都市部の失業率を約5%まで削減したいとしている。

MoLISAは、これらの目標を達成するため、雇用創出と職業訓練の充実を計画している。短期的には、約4万人を海外労働に派遣し、さらに100万人(うち約14万4千人が長期コース)の訓練計画を立てている。2001年には約3万7000人が海外労働者派遣され、職業訓練を受けた労働者数も目標を5%上回った。

2002年の重点政策の1つは、政策優先度の高い世帯の85%に何らかの所得源泉を提供する計画を立て、この計画を全国の7割の地域で実施することである。政府は、失業者による新規事業開始を援助するために6兆1千億ドンの予算を用意している。また恵まれない子供やホームレスの子供が仕事につくことができるように援助するほか、麻薬常習者、売春婦が優先的に雇用計画、リハビリ、医療を利用できるように計画されている。MoLISAは、麻薬が大きな問題になっている村落の数を10%削減する計画である。

2001年には、約75万人が農業部門、35万人が工業・建設・手工芸部門、商業・サービス部門で32万人が新規に就労した。同年には国家雇用創出基金が8400億ドンの低利ローンを提供、雇用創出に貢献した。

2001年 所有形態別平均賃金 (月、単位ドン)
  全部門 国有企業 非国有企業 外国投資企業
平均所得 144万 144万 126万 175万
(1+2+3+4)        
1 平均月収 95万6000 93万2000 87万3000 131万
2 時間外手当 7万2000 7万 8万 8万
3 ボーナス 16万9000 17万9000 14万6000 10万
4 社会保障給付など 24万8000 26万 15万6000 26万1000
社会保険料        
 (含企業拠出分) 8万8000 8万1000 8万3000 17万2000
健康保険料        
 (含企業拠出分) 2万 1万9000 1万7000 3万1000
総支払い額 156万 154万 136万 195万

出所:CIEM(Central Institute for Economic Management)

所有形態別雇用構造 (月、単位ドン)
  全部門 国有企業 非国有企業 外国投資企業
平均所得 144万 144万 126万 175万
(1+2+3+4)        
1 平均月収 95万6000 93万2000 87万3000 131万
2 時間外手当 7万2000 7万 8万 8万
3 ボーナス 16万9000 17万9000 14万6000 10万
4 社会保障給付など 24万8000 26万 15万6000 26万1000
社会保険料        
 (含企業拠出分) 8万8000 8万1000 8万3000 17万2000
健康保険料        
 (含企業拠出分) 2万 1万9000 1万7000 3万1000
総支払い額 156万 154万 136万 195万

出所:CIEM(Central Institute for Economic Management)

FIEにおける労使関係

MoLISAとベトナム労働総同盟の統計によれば、74%のFIEで労働組合設立が認められた。より正確には、1540社のFIEのうち、1143社で労組が設立された。ホーチミン市のFIEの約半分、北部のFIEの38.1%が労働協約を結んでいる。また多くの企業が労働組合運営のための資金援助を行っている。

しかし多くの企業が今でも労働法に違反している。いくつかのFIEが長期勤続労働者と短期契約を結んでいる。労働法が規定する最低賃金よりも低い賃金で従業員を雇用している企業もある。こうした企業では従業員の勤続年数や能力に関係なく賃金を設定している。

過去2,3年に起きたストの大部分は、労働時間や給与についての不満が原因で起きた。MoLISAによると、95年に労働法が施行されて以来、全国で459のストが起きたが、その55%はFIEで起きている。ベトナム労働総同盟で法律問題を担当しているグエン・ホア・ビン氏によると、ストライキ件数は増加しており、しばしば労働法には違反しているものの、より組織的に行われたストが増えている。

2001年に行われたホーチミン市の輸出加工区、工業団地の企業に対する監察の結果、大部分の使用者が労働者に対して、労働法では認められていない懲戒処分を行っていることがわかった。監察を受けた企業のうち約15%が従業員に対する社会保険料への拠出を行っていなかった。またドンナイ省ではFIE247社が9万6741人のベトナム人従業員を雇用しているが、そのうち204社で働いている7万9940人だけが社会保険に加入していた。

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