旧郵政公社、さらに1万7000人を削減

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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旧郵政公社のコンシグニアは6月13日、2002年3月期に11億ポンドの最終赤字を計上したと発表した。同時に、業績改善のため今後3年間に1万7000人を削減する計画を明らかにした。3月に1万5000人の削減を決めており、合計で従業員の16%が削減されることになる。

コンシグニアは2001年3月に英国郵便を改組してできた政府全株保有の株式会社。この2年間に経営状態は急激に悪化した。2001年4~9月期には2億8000万ポンドの最終赤字を出し、そのため3月には、海外151カ所の集荷センターのうち50カ所を閉鎖して、急送小包サービスなどを中止し、同部門を中心に1万5000人を削減することを決定していた。

新たな人員削減は郵便部門が中心。1日2回の郵便配達を1回に減らし、都市部の郵便窓口3000カ所を閉鎖する。

人員整理を中心とした一連のリストラ計画を進めているのは、スーパー大手アスダの元最高経営責任者(CEO)アラン・レイトン会長。コンシグニアの再建を政府に請われて会長に就任した。ナンバー2のジョン・ロバーツ社長は今年末で辞任するが、レイトン会長の方針で後任は置かない。評判が良くないコンシグニアという社名も、旧英国郵便時代から愛称として浸透していたロイヤル・メールに戻す。

郵便自由化計画、1年延期

郵便事業の監督機関、ポストコムは5月29日、郵便事業の完全自由化を1年延期すると発表した。当初の予定では、今年の4月から郵便取扱量の30%について自由化し2006年3月に完全自由化するはずであったが、第1段階を2003年1月に延期して、完全自由化は2007年4月からとする。深刻な経営難に苦しむコンシグニアに配慮した格好だ。

イギリスの郵便市場への参入については、すでに企業向けサービス会社ヘイズが免許を取得しているほか、7月1日には、ドイツの郵便事業者、ドイツ・ポストもポストコムに営業許可を申請している。

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