UAWが自動車部品会社で2日間スト、協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

大手自動車部品製造会社ジョンソン・コントロール社(本社ミルウォーキー)は、労使交渉に応じない(不誠実交渉)など組合に対して非協力的なことで知られ、これまでも多くの不当労働行為があったとしてUAW(全米自動車労組)はNLRB(全国労働関係局)に申立をしている。UAWは2002年6月12日からストを同社の4工場で実施した。このストにより、人気のある車種の部品が不足したため、GM(ゼネラル・モータース)社の2工場、ダイムラー・クライスラー社の3工場が閉鎖に追い込まれた。

ストは、6月14日に労使が合意に達し、2日間で収束した。協約が結ばれていなかったルイジアナ州シュレブポート工場、ミズーリ州アースシティ工場、オクラホマシティ工場の3工場で働く従業員に適用される4年協約が6月14日に結ばれ、これらの工場の従業員は同協約を即日承認した。4年協約の内容は、(1)1500ドルの協約締結時の一時金支給、(2)時給の3ドル以上(最高6ドル)引き上げ、(3)歯科、眼科を含む企業負担の医療提供、(4)従業員の積み立てに応じて企業が拠出する401Kプラン、(5)企業負担の生命保険、(6)協約期間中は従業員がストを起こさない、などとなっている。

今回やはりストを決行したオハイオ州ノースウッド工場では、同社がUAWの労組設立を承認した。さらに今後、同社の他の26工場においてUAWが8000人の労働者を組織化する場合に、同社は組織化活動を妨害しないことに合意した。UAWは、同社の妨害がなければ、これらの工場で働く労働者の大部分を数カ月のうちに組織化できると見込んでいる。もしも、この組織化に成功すると、現在20%従業員が組織化されている同社での組合員の比率は約90%にまで上昇する。

UAWのゲッテルフィンガー新会長は記者会見で、UAWは好んでストを行う労組ではないが、組合員や労組加入希望者を助けるためにはストを厭わないと語り、これを弾みにして他の未組織自動車部品工場での組織化を推進する決意を表明した。自動車部品産業における組合員の比率は、70年代には50%以上であったが、現在では20%未満になっている。

UAWは長年、大手自動車製造会社3社に対するUAWの立場を利用して自動車部品製造会社の組織化を進めようとしてきたが、ほとんど何もできなかった。しかし今回は、人気車種の部品を製造している工場で短期間のストを行うことにより、UAWと良好な関係を保ちたいGMおよびダイムラー・クライスラー両社が、ジョンソン・コントロール社に早期紛争終結を働きかけたと、内部の事情に詳しい人々は語っている。労働者にほとんど経済負担をかけない短期間のストは、UAW組織化担当のボブ・キング副会長が中心になって考案した。

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