外国人労働者の就労許可証再発行に関する規制改正
国内の労働集約的な農業・漁業分野の重要な労働力として働くミャンマー人やカンボジア人は、不法就労者を含めると今や100万人以上に上るといわれる。毎年8~9月に就労許可証の更新に関する発表がある(2001年は許可証発行の手数料がそれまでの10倍となり、雇用登録者は60万人に達した)。
2002年の外国労働者対策
2002年5月の労働社会福祉省の発表によると、外国人労働者の就労許可証発行の遅さを改善する形で、許可申請が提出されてから30日以内の発行を目指す考えだ。
また、2001年までは就労期間を6ヶ月と1年間の2種類に区別していたが、2002年からは1年間の就労期間のみに1本化することも明らかにした。
今回の規制改定項目は以下の通り。以下の項目を満たした職場でのみ外国人の就業が可能となる。
- 資本金が少なくとも200万バーツ以上であること。資本金が200万バーツにつき1人の外国人労働者を雇用することができる。
- 過去3年間で少なくとも500万バーツの税金を納めていること。納税額が500万バーツに1人の割合で外国人労働者を雇用できる。
- 1年に少なくとも300万バーツ相当の外貨をもたらす輸出企業であること。外貨収入が300万バーツにつき1人外国人労働者を雇用可能で、最大3人まで雇用できる。
- 1つの事業所では5人以上の外国人労働者を雇用してはならない。またタイ人50人に対して外国人1人の割合であること。
などである。以前タイで就労したことのない外国人の場合、使用者(予定でも可)の承諾書、単身者であれば少なくとも3万バーツ、既婚者であれば4万5000バーツを、経営者が支払可能であることを証明した文書を提出する必要がある。
しかし雇用局では、以下のような例外に関しては納税額などに関係なく就労できるとした。例外規定は以下の通りである。
- 品質管理、購買・市場状況を見極める能力を持った国際的なビジネスマン
- 投資や経営、技術等のアドバイザー
- 外国人向けタイ観光に必要なガイド
- タイ銀行に承認された国際金融機関の従業員
- 余興、宗教、社会福祉、文化・スポーツビジネスなど短期契約の労働者で、タイ政府に納税が可能なもの
- 国家機関や公共機関のプロジェクトに関わる建設労働者
- 地元の原材料に関わる就業者
- タイ人の労働力が不足している地域での就業者
- タイ国籍を持ち、就業しているタイ人と結婚した人
外国人労働者雇用に関する委員会発足
労働社会福祉省のデジ大臣は、9月25日に期限を迎える外国人労働者の就労許可証の更新について、各方面の専門家を集め、この問題に関する委員会を発足させる予定であることを明らかにした。
警察は2002年5月9日までの3ヶ月で5万人の不法就労者と312の経営者、斡旋業者を逮捕したと伝えている。そのうち、3分の2以上がミャンマー人で、残りがカンボジア人、ラオス人と続く。
5月15日にバンコクで開催された労働社会福祉省と、国際移動機構(IMO)及び国際労働機関(ILO)の主催したセミナーで、タイ政府側は外国人労働者政策に関して国内外の研究者らから厳しい意見を受けた。例えば、就労期間を6ヶ月ないし1年という非常に短い期間に設定し、毎年再更新しているだけでは、問題の先送りにしかならないという意見、また外国人労働者が多く雇用されている農村地域では、貧しいタイ人が、労賃の安い外国人労働者に雇用の場を奪われている例を指摘した。さらに、非常に多くの外国人労働者が就労している漁業においては、船上ということもあり監視が難しく、労働者の権利が剥奪されている状態を指摘した。
このように、外国人労働者政策に対してその場しのぎではない、中・長期的な政策を望む声が多かった。
2002年8月 タイの記事一覧
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