貧困率を12%まで削減、2006年を目標に、NESDB

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年8月

国家経済社会開発局(NESDB)は、現在人口の14%、870万人に上る絶対貧困者の割合を、2006年までに12%まで削減する目標を発表した。

貧困率の定義

世界銀行の定義によると、「貧困」とは1日の世帯所得が1~2米ドルの人々を指す。タイではこの40年間に貧困削減に成功してきた。例えば、1962年に貧困率は57%であったのが、1996年には12%まで削減している。この成功の背景には、経済成長と非農業部門の所得の向上、基礎的な公共サービス、特に教育サービスの提供、そして人口抑制政策の成功がある。

しかし、過去に成功した政策が現在も適用可能というわけではない。1997年のアジア経済危機の直前に最低になったタイの貧困率は、1997年には再び上昇してしまった。NESDBの数々の報告書にもあるように、貧困削減政策の「パラダイム・シフト」が必要とされている。

経済危機後の貧困削減政策

経済成長が雇用機会を創出し、その結果一時的な貧困が解消されている。貧困には2種類あり、1つは「慢性的貧困」、もう1つは「一時的な貧困」である。経済成長による雇用創出やトリックル・ダウン 注)で貧困から脱出できるのは、後者だけであると専門家は見ている。そのため、経済成長に依存した貧困解消政策よりも、根本的な構造改革が必要とされている注)。

また、貧困削減政策にはコミュニティーレベルでの取り組みが欠かせない。何故なら、貧困者は、特に東北部のいくつかの村落に集中しているためである。

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