最近のストライキの動き、最大手タバコメーカー、タイヤメーカー、バス運転手
2002年5月のインドネシア国内の目立ったストライキの動きをまとめた。労使紛争の多発する国との印象が強い同国であるが、近年では、落ち着きを見せているようだ。
最大手タバコメーカーで大規模スト
タバコ製造の最大手である、グダンガラム社(東ジャワ州クディリ)で、5月30日から約1万5000人の従業員のストライキが行われた。従業員らは、賃金と労働条件の改善を要求しており、6月上旬の段階でも解決に至っていない。
労働者らは6月1日に一度ストを中断したものの、6月3日から再ストに突入したという。同社の発表では、生産ラインの従業員3万8000人のうち、約1000人が生産活動を中断しているということだが、従業員によれば約3000人が生産活動を停止している状態だということだ。
同社の生産ラインに関わる従業員は平均月給40万ルピア程度で、生活必需品を購入するにもままならないこの低賃金に対して憤慨しているという。この地域での2001年のインフレ率は約14%といわれているため、賃金の上昇率がインフレをカバーできていなかったと考えられる。
同社では、毎年700億本のタバコを生産し、国内タバコ生産シェアの約32%をしめている。同社は、今回の3日間ストの損失を2430億ルピアと算出している。
グッドイヤー社の契約会社、ライセンス契約期間を巡りスト
5月27日、アメリカのタイヤメーカー、グッドイヤー社とのライセンス契約を受けてタイヤを生産している西ジャワ州のバンテン・プラタマ・ラバー社の従業員約150名が、ボゴールのグッドイヤー・インドネシア本社でデモを行った。その内容は、同社が1985年からライセンス契約を結んで生産してきた二輪車用タイヤに関して、突然のライセンス打ち切りが通告されたことに関して抗議している。
しかし、グッドイヤー社によると、同社との契約は行っておらず、グッドイヤーの商標を使ったタイヤ生産を中止して欲しいと説明しているという。
再び値上げで庶民の生活に打撃、バス料金値上げとそれを巡る運転手のスト
交通運輸局は、公共バスの運賃を今後6ヶ月間に14~24%の値上げを、ジャカルタ特別首都区の行政側は25~40%の値上げを、5月の中旬から行う考えを発表した。値上げの理由は、(1)燃料費の上昇(2002年5月の燃料費は平均14.5%上昇)(2)バスの部品価格の上昇(3)モーターオイルの価格上昇、の3点である。
バス料金は2001年7月にも28~50%引き上げられており、庶民の足であるバス料金の値上げは庶民の生活に大きな影響を与えるものと予想される。
一方、首都圏でのバス料金の値上げにともなって、地方でもバス料金値上げを求める運転手らがストライキを行った。5月13日には、西スマトラのパダンで数百人のミニバン運転手がストを行い、朝の通勤通学の何千人もの交通に支障が出た。運転手らは、燃料費が値上がりしたことを理由に、地方交通局にバス料金の規定料金を引き上げるように要求している。
また、北スマトラのメダンでは、バスを含む公共交通機関の料金が平均約60%引き上げられたということだ。
しかしながらバス料金が引き上げられたとしても、運転手の給与の増加になるわけではなく、多くは増加した支出を穴埋めする程度になると予想されている。
2002年8月 インドネシアの記事一覧
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