CFDT大会:ノタ書記長の後任にフランソワ・シェレック氏

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年8月

民主労働同盟(CFDT)は5月27日から31日にナントで第45回大会を開催した。今大会の最大の注目は書記長の交替だった。欧州労連(ETUC)書記長へ立候補するために3期務めたニコル・ノタ書記長が退任し、その職務をフランソワ・シェレック氏が引き継ぐことが決定された。

5月30日には全国事務局(BN)の新しい39人のメンバーが選出された。シェレック氏の得票率は91.44%だった。全国事務局は執行委員会の10人のメンバーを選出するために直ちに召集され、書記長(シェレック氏)、書記長補佐(ジャッキー・ボンタン氏)、財務長(ジャン=マリー・トゥーリッス氏)を指名した。執行委員会として新たに加わったのは、ブルターニュ地域連盟のガビー・ボナン氏など、3人である。

バトンの引き継ぎは達成された。間もなく46歳を迎えるラグビー好きのシェレック氏はその生活を急旋回させることになるだろう。家族生活を守るために戦う必要も出てくるかもしれない。保健・福祉連盟という1つの組織でそのすべてのキャリアをつくったシェレック氏は一般にはあまり馴染みがないが、多くの切り札を有している。CFDTの戦略的な方向に対する考え方は同じだとしても、第1の切り札は前任者との違いにある。ノタ氏はいろいろな面できわめて政治的だったと言えるだろう。一方、シェレック氏は、大連盟出身で、現場で働き、すぐ近くから組合運動に携わり、職業的慣行に注意を行き届かせていただけに、組織の問題に一層の関心を持っている。

しかし、深い失望に見舞われたくなければ、シェレック氏は新たな職務の政治的な側面を迅速に評価しなければならないだろう。現実が彼にそれを強いるに違いない。CFDTが大きな希望を持っている労使関係改革と政府の日程に載ることになるその他の重要問題との間で、シェレック氏はその能力を見せる多くの機会を持つことになるだろう。人の意見に耳を傾けて、対話を好み、闘争的だが、妥協を図ることもできるシェレック氏は、これまでも何度も複雑な環境の下で、国や経営者団体との交渉を担当してきた。

新書記長はエドモン・メール元書記長を支えたジャック・シェレック氏の4番目の息子として生まれた。フランソワ・シェレック氏にはCFDTの色と臭いが染みつき、連帯や責任感といったCFDTの価値観も幼年時代や青春時代に深く浸透した。

シェレック氏の管理手法はノタ氏よりも柔軟だ。1995年に全国事務局入りしたシェレック氏は2001年10月から執行委員会のメンバーも続けている。ただし、親友であるチボー労働総同盟(CGT)書記長と同様に、職種間にわたる組合運動の経験はない。彼は労働審判官選挙運動の責任者として、この数ヶ月間、全国の連盟やその他の組織を飛び回ってきたが、どこでも歓迎されたようだ。

今後数ヶ月の間に、この実用主義者が未来を明るくできるのか、単なる妄想家にすぎないのか、評価が決まるだろう。CFDTがいかに結束しようとも、5月革命もベルリンの壁の崩壊も知らない若い組合員たちは進むべき目標を失いがちだ。グローバル化という事実のために労働運動が直面する問題がますます複雑化していることを理解しながら、シェレック氏は彼らが求めるものを提供しなければならない。

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