国有企業改革による失業者への施策

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

国有企業改革の過程で生じる失業者への雇用対策が発表された。政令41/2002は、解雇手当支給や転職費用援助などを定めている。この政令の対象は、期限の定めのない労働契約あるいは1?3年の労働契約で働いている労働者で、1年未満の労働契約で働いている者は対象外である。政令が効力を持つのは2002年4月26日から2005年12月31日までである。

政府は、国有企業改革による失業者のための基金を新設する。大蔵省が管理する同基金は、社会保険関連諸機関、諸手当支給が困難な国有企業、失業者を再訓練する職業訓練機関などに資金を提供する。資金源は国家予算および個人、諸機関の寄付とする。さらに、失業者に対しては、雇用創出基金から貸し付けを受け、自営業者として自立するように奨励している。

労働者個人への社会保険給付、手当などについては、次のように定める。

1. 期間の定めのない労働契約で働いている労働者が失業した場合

a.男性55?60歳、女性50?55歳で社会保険料支払を少なくとも20年間続けた労働者については、退職年齢よりも早く退職した場合にも満額の年金を受け取ることができる。これに加え、次の2種類の手当がある。1早期退職によって退職を繰り上げした期間については、1年につき3カ月分の給与およびあらゆる手当を受給できる。220年間の社会保険料支払に対して5カ月分の給与およびあらゆる手当が支払われる。20年を上回る社会保険料支払期間については1年につき半月分の給与およびあらゆる手当が支払われる。

b.労働法が定める退職年齢に達していながら、20年間の社会保険料支払に、最長で1年分不足している場合には国が不足分を支払い、労働者が年金などを規定通り受給できるようにする。

c.その他の労働者は雇用関係を終了する必要がある。国有企業から支払われる解雇手当は勤続年数に応じて定められ、1年勤続につき1カ月分の給与およびあらゆる手当が支払われる。ただし、この金額の最低限は2カ月分とする。これに加え、1年の労働につき1月分の給与およびあらゆる手当が支給される。

新しい仕事を探すために、500万ドン(330ドル)の手当が支払われる。求職期間中は、求職活動をするために6カ月分の給与およびあらゆる手当が支払われる。もし職業訓練に参加する意志がある場合には、国が指定した訓練機関で最長6カ月の訓練を受けることができる。この訓練費用は国が負担する。

2. 労働契約期間が1~3年の労働者が失業した場合

解雇手当として1年勤続につき1カ月分の給与およびあらゆる手当が国有企業から支給される。契約期間が終了していない場合には、契約残存期間について給与およびあらゆる手当の7割が支給される(ただし12カ月分を上限とする)。

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