国会、労働法改正を承認

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

2002年4月2日に閉会した国会で、労働法改正が承認された。労働法典は1994年に採択され95年1月1日に施行された。社会主義経済から市場経済への移行が始まったばかりの当時とは経済状況が変化しており、その後、民法、刑法、企業法、外国投資に関する法などが改正されているため、労働法の改正が必要になっていた。

労働法27条で、労働契約は、1期間の定めのない契約、21年~3年間の労働契約、31年未満の季節的労働または特定の労働についての労働契約、以上3つの形式のいずれかでなければならないとしている。27条の改正により、使用者は、2の形式の労働契約を労働者と2回までしか締結できないことになる。2の契約が2回終了し、さらに雇用関係を継続する場合には、1の形式の労働契約を結ばなければならない。

労働法41条の改正は、労働者が法律に違反して労働契約を解除した場合には、各種手当を得ることができず、補償金を支払うものとする。

労働法61条の改正は、1通常の日の時間外労働賃金は、通常の労働日の時間給の少なくとも150%に相当する、2週休日の時間外労働賃金は同200%、3祝日および有給休暇日の時間外労働賃金は同300%とする。従来は、3の場合も200%で、割増賃金率が上昇した。

労働法69条の改正は、時間外労働時間の上限として1日4時間、年200時間、ただし特定の産業(縫製、繊維など)については年300時間とする。使用者からの要望を反映して近隣諸国との競争の激しい輸出産業の時間外労働時間上限が緩和された。

国有企業は、これまで様々な規則に縛られていた給与決定方式を改め、一定の枠内で従業員の給与に能力に応じた差をつけることが認められた。これにより、国有企業が有能な人材に対して高い給与を支払うことができないために生じていた外国投資企業や民間企業への頭脳流出を止めようとしている。

外国人がベトナムで働く場合、従来はいかに短期間の就労であっても、労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)が発行した労働許可証の取得が必要とされた。改正された労働法では、ベトナムで3カ月以上働く外国人にのみ、労働許可証取得が要求され、有効期間は最長3年間となる。また、これまでMoLISAが発行していた労働許可証を省の労働当局も発行できるようになる。

外国投資企業は、雇用サービスセンターを通さずにベトナム人を直接雇用できるようになる。外国投資企業が外国人を雇用する場合、外国投資企業は、外国人の高技能労働者および管理者だけを雇用でき、外国人の比率は従業員の一定割合に制限される。政府は、この割合を産業別に設定する予定である。さらに改正労働法は、外国投資企業が、外国人が現在占めている地位にベトナム人が就くことができるように、ベトナム人を訓練する努力義務を定めている。

労働者の解雇についてもはっきり定める。労働者は労働契約の通りに仕事を完成しなかったり、適当な理由がなく1年間に20日間または1カ月間に5日間欠勤する場合、使用者はその労働者を解雇する権利を有する。女性の労働者に対して使用者は労働者の結婚、妊娠、12カ月以下の子供の育児などの理由で解雇してはいけない。

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