CPF使用者負担率、中高年を低率
中高年の雇用を促進するため、中央積立基金(CPF)の使用者負担率を中高年について引き下げる案が浮上している。政府の諮問機関である経済再生委員会(ERC)が6月に同案を含むCPFの改革案を発表する。
CPFは労使が従業員給料の一定割合を拠出し証券などに投資して老後に備える仕組みで、日本の厚生年金に相当する。拠出率は1994年以来、労使ともに20%であったが、1999年1月に経済危機対策の一環として使用者拠出率は20%から10%に引き下げられ、現在、16%まで回復している。使用者にとってCPFの拠出負担は人件費として決して軽くなく、とくに景気低迷期には人員削減の一因にもなっている。
現在、景気は回復基調にあるものの、雇用情勢は悪化し続けており、2002年末までに失業率は6%に達するとの予測も出ている。とくに中高年は若年層に比べて賃金が高いため、「最初に解雇されて最後に雇用される」という厳しい状況にある。たとえば、失業期間を見ると、40歳未満は平均11.5週であるのに対し、40歳以上は14.2週、50歳以上は21週となっている。
こうした状況を踏まえ、リム・ブンヘン首相府相(全国労働組合会議(NTUC)委員長を兼務)は4月24日、使用者が中高年の雇用を維持・促進しやすいように、CPFの使用者負担率を中高年について引き下げることを提案し、CPFの制度改革を検討している政府の諮問機関、経済再生委員会(ERC)に同案も併せて検討するよう求めた。
現在、使用者掛金率は、55歳以下の従業員については16%であるのに対し、56歳以上は6%、61歳以上は3.5%と低率に設定されている(表参照)。リム首相府相の提案内容は、この56歳以上の優遇レートを40歳以上の労働者に適用するというものである。
リム首相府相の提案を受けて、リー・ブーヤン労働力相は5月17日、同案を採用する必要性を国会で訴えたが、一部の議員から、1CPFの積立金を利用した住宅ローンの返済に支障が出るのではないか、2CPF拠出率を動かすよりも現行の年功賃金制を改める方がよいのではないか、3年齢差別の先例をつくることになるのではないか-などの懸念が表明された。
リー労働力相によれば、ERCが現在、CPF拠出率の変更幅によって対象者の住宅ローン返済、年金、医療費支出にどれだけの影響が出るかについて検討しており、6月にCPFの制度改革案とともに報告する。
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