3月に失業が大幅増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年7月

ムリネクス、マークス&スペンサー、リュ・ダノーなどにおける象徴的な労働紛争の後も、相次ぐ雇用削減の発表が労使の緊張を増幅してきた。ソワッソン(エーヌ県)やロアンヌ(ロワール県)などの地方都市では、いくつもの雇用削減計画が急展開を見せ、電気通信部門では、相次ぐリストラ計画が容赦なく労働者に襲いかかる。2001春以降増加傾向にある企業倒産が2002年第1四半期にはさらに加速し、中小企業の脆弱性が浮き彫りになった。

4月30日に雇用省が発表したデータによると、3月の失業者数は対前月比で+1万7700人(+0.8%)と大幅な増加を記録した。国立職業紹介所(ANPE)の登録失業者数は1年前から1月を除いて毎月増え続け、年間で14万8000人(7.1%)の増加を記録した。3月末現在の失業者総数は223万2100人、失業率は9.1%である。

雇用省が政権交代の準備に追われているため、今回の雇用統計は慣例とは異なり、コメントなしで発表された。しかし、そのあとで、「世界経済減速化の影響のために現在は難しい状況にあるが、過去5年間にわたる労働市場のバランスシートは大幅にプラスだった」とのコミュニケが発表された。ギグー雇用相も、1997年半ば以降、失業者数は90万5400人も減少した(+28.9%)と付け加えずにはいられなかった。

失業増大の原因については、「企業の超短期的な雇用調整(季節労働の減少)」や「大統領選の結果を見極めたいとする企業の待機姿勢」が挙げられているが、不安材料はさまざまな公式統計の中に潜んでいる。たとえば、月間78時間以上の臨時労働を行う求職者を含めた数字を見た場合でも、上昇傾向は明らかだ。すなわち、3月には5400人(+0.2%)、年間では4.1%の増加となる。したがって、求職者総数を合計すると262万5600人に達することになる。

しかも、25歳未満の若年者(+1%)、25~49歳の成人(+0.8%)、あるいは50歳以上の中高年(+0.4%)と、すべてのカテゴリーで同様の傾向が確認される。そして、2年前もしくは3年前からANPEに登録している人数こそ減少しているものの、長期失業者(登録期間1年以上)数も同様に増加した(+0.5%)。

ANPEの流入と退出の収支はジョスパン政権期間中に長期にわたって「黒字」だったが、今後は「赤字」になる。3月の場合、33万人が登録を抹消した(+3.9%)一方、36万8000人が新たに登録した(+4.7%)。「経済的理由に基づく解雇」による登録者の数も1.2%増加した。雇用省はこの指標が3月にはほとんど横這いだったと指摘しているが、年間では56.4%も増加している。

「失業者の行動」(AC)や「雇用と情報と連帯のための会」(APEIS)などの失業団体では、このような状況を踏まえ、使用者側と4つの労働団体が調印した雇用復帰援助制度(PARE)の廃止を求めていくことを決定した。4月30日には、パリ大審裁判所で、新失業保険協約の廃止を求める異議申し立てに対する審理が行われている。PAREに対する異議申し立てについては、すでに2001年7月にもコンセイユデタで審理されているが、このときには原告側の主張が認められなかった。

2002年7月 フランスの記事一覧

関連情報