土地よこせ運動の再燃

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

3月23日、土地よこせ運動(MST)の一隊が、ブラジリア市から170kmフエルナンド・エンリケ大統領の家族の所有する農場に侵入し、食料庫にあった若牛の肉220キロ、若鶏50羽、七面鳥2羽、クジャク2羽の外、大量のフランス製シャンペン、フランス、イタリア製のワイン、スコッチ・ウィスキー、50キロのチーズ、90キロの米などを食い、呑みつくした。一隊は、リーダー20名と、失う物は何もない隊員から成る総勢250名で、最初から農地取得の意志は全くなく、単なるデモンストレーションといわれている。結局、2日後の早朝、警察と軍隊が出動して指導者を逮捕するとともに農場を明け渡させた。

一時下火となっていた土地よこせ運動の農場侵入が再び盛んとなったのは、大統領選挙の接近とともにあいまいな態度を取り続ける(これを非難しても、肯定しても、票を失う公算が大きいため)与野党両陣営の姿勢による。与党の候補者はもちろん、労働党の大統領候補者も、かつてのように、無条件で「土地よこせ運動」部隊に支持を与えてはいないが、「大統領の家に侵入するのに反対する。いかなる人の家に対する侵入も同様」と、話を一般化してこの事件に対する態度をぼかしている。

しかし、この大統領農場の占拠事件を境に、ようやく政府も、やや強硬な策をとる姿勢をみせている。

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