労使直接交渉を労裁が無効判決

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

総合労働法の一部規定に対し労使交渉による協定を法規以上に効力あるものとすることにより、雇用増大を図ろうとする政府の方針に従って、中央労組フォルサ・シンジカルはサンパウロ市の金属労組と自動車部品工業組合の間に、仮の同意を成立させ、労働法に柔軟性を持たせる政府の法案が成立してから実施に入る準備を整えていたところ、労働裁判所サンパウロ地方労裁はこれを無効とする予備判決を4月に下した。

サンパウロ地方労働検察庁の要請に応じて判決を下したものである。この問題は2大中央労組が賛否両論に別れての政治的対立として話題を呼んでおり、国会でも政府と労働党が対立している。

中央労組のフォルサ・シンジカルは政府案を国会が早急に承認するよう圧力を掛ける手段として、自動車部品工業の労使による仮契約を結ばせて、労使ともに政府案を待望していると言う意思を表示したものである。同中央労組と政治的に対立する中央統一労組(CUT)は「労働者の既得権を奪おうとする政府の作戦だ」として、国会で徹底的に阻止すると発表しているが、フォルサ・シンジカルでは「労働法の近代化を達成するまで戦う」と発表して、上級労働裁判所に上訴すると発表している。

CUTは労働党に所属して、2002年10月の次期大統領選に立候補しているルイス・イナシオ候補の選挙運動に参加しているが、フォルサ・シンジカルは他の候補を支持し、パウロ・シルバ委員長自体が大統領選の選挙運動に直接参加していて、両中央労組共に、執行部によって労組活動が政治運動に利用されている。

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