100万人の不法外国人労働者に恩赦
政府は3月20日、国内に約100万人いると見られる不法外国人労働者に対し、恩赦期間を与えると発表した。出入国管理法の改正案が成立・施行されるまでの3?6カ月の間に出頭した場合、当該不法外国人は罪を問われないまま本国に送還される。
政府は1月にインドネシア人労働者が起こした一連の暴動事件を重く見て、外国人労働者を削減する方針を打ち出した(注1)。その一環として、国内に100万人いると見られる不法外国人の取締りを強化し、今年になってこれまでに約3万人を強制送還してきたが、このままでは検挙・強制送還の費用が膨大な額になることから、今回、恩赦期間を設けて「自首」を促すことになった。
恩赦の期間については、まもなく議会に上程される出入国管理法の改正案が成立し施行されるまでの間で、3~6カ月になる見通し。改正案では、不法外国人に対する刑罰を懲役・罰金ともに重くし、鞭打ち刑も科す。また賃金の安い不法外国人を安易に雇用するのを防止するため、使用者に対する刑罰も重くする。
恩赦期間に当局に出頭した不法外国人は、罪を問われずに本国へ送還される。
政府は昨年、インドネシア人12万人、ミャンマー人7000人を本国送還したが、その費用は750万リンギにのぼった。
なお、政府は1998年にも不法外国人に恩赦期間を与えたが、その際には約19万人が送還されている。
熟練外国人労働者には就労期間延長を承認
内閣は3月20日、使用者の要請を受けて、熟練の外国人労働者については就労期間の延長を認める決定を下した。一定水準以上の技能を有していることとマレーシアで5年の就労経験を有する外国人が対象で、使用者が就労延長を希望した場合にのみ、認められる。延長期間は6カ月。建設、繊維、電子産業で人手不足が叫ばれていた。
注
- 暴動事件後、政府は、外国人労働者とくにインドネシア人労働者を削減するため、1従来の近隣諸国以外にウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタンなどからの外国人労働者の受け入れを認め、労働力供給国を多様化する、2外国人労働者の就労部門を出身国毎に振り分けて、インドネシア人労働者についてはメイドとプランテーション部門に制限する、3これまで民間の斡旋業者が行ってきた外国人労働者の募集について、今後は労働力供給国と政府間協定を結び、それに基づいて行うなどの方針を打ち出した(本誌2002年4、5月号参照)。(本文へ)
2002年6月 マレーシアの記事一覧
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