大統領選で共産党と一線を画すCGT

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

労働総同盟(CGT)は3月7日、大統領選での立場を決定するために執行委員会を開催した。指導部は、共産党が厳しい状況にあるにも関わらず、厳密な意味での独立路線を掲げ、特定の候補への支持を打ち出すことを拒否していた。ところが、共産党書記長のロベール・ユー候補を支持する檄文が内部に流されたことで、事態が複雑化している。「ユー候補に投票することが社会的要求に配慮した政策を支える舞台をつくるために有用な選択であると考える」組合活動家と社会運動参加者に結集を呼びかけるこの檄文は、CGTの有力者を中心に、すでに300人ほどの署名を集めている。

同盟事務局のメンバーこそ署名者に名を連ねていないものの、イルドフランス地域連合のジョエル・ビアール会長、医療労組連盟の元会長で現在は要求行動を担当しているジャン=リュック・ジベラン氏など、幹部もこの檄文を支持している。また、リストには、CGTの本部で職業訓練を担当しているジャン=ミシェル・ジュビエ氏や司法部門の責任者であるパスカル・レンヌ氏の名前も見られる。署名者がとくに多いのはエネルギー労組連盟や鉄鋼労組連盟だが、管理職労組連盟からの支持者が少なくないことは驚きを持って受け入れられている。さらに、セーヌサンドゥニ県やヴァルドマルヌ県などの県連盟の幹部も名を連ねている。

しかし、チボーCGT書記長が影響力を維持している鉄道労組連盟やナンバー2のマリーズ・デュマ氏が勢力下に置いているPTT連盟の幹部はまったく参加していない。また、産別連盟や県連盟からの参加者が多いが、失業者連盟や雇用・情報・連帯協会(APEIS)など、最近の労使紛争に登場した名前は見られない。

3月4日付の「ユマニテ」(共産党機関誌)にこの檄文が紹介されているが、その内容はCGTの指導部を激しく苛立たせた。「ユマニテ」は、「ロベール・ユーとの契約」というタイトルの記事で、「社会運動の分立とそれを推進する戦略のドグマを断ち切った」組合活動家と闘士を賞賛しているからである。指導部ではCGTに対する形を変えた圧力だと判断しているようだ。

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