外国人学生のための拡大された労働の権利

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

政府が労働移民へわずかながら門戸を開いたのは、官報に発表されない内部通達の手段によってであった。1月15日付と16日付の通達は、フランスに滞在する外国人が作成した労働許可申請書の処理手順を初めて知事に明示するとともに、国の担当機関へ、フランスで勉強した外国人学生からの申請を「好意的に」受け付けることを求めている。

これまで簡単に労働許可証を手に入れることができたのは、2万4000フラン(3658.77ユーロ)以上に相当する賃金を保証するフランス企業の採用証明書を提出できる「上級管理職」だけであった。他の外国人は雇用状況を重視する県労働雇用局(DDTE)によって許可証を阻まれていた。すなわち、同じ職業カテゴリーのために、フランス人の失業者と外国人が国立職業紹介所(ANPE)に登録していた場合、優先権は前者に与えられていた。最近では、限定的な人手不足に対応するために、2つだけの例外がこの方針に反することになった。すなわち、1999年12月の暴風雨の被害のあとで東欧諸国に求められた木材伐採人の場合と、外国人情報処理技術者採用規則が緩和された2000年の例である。

フランスの高等教育機関での教育を修了した外国人学生は就職の門戸を開くために悪戦苦闘を強いられていた。1982年の通達以降、パートタイムで働く許可を受けるためには、課程を終えたあとで母国へ一度帰国しなければならなかった。また、移民に関するシュヴェーヌマン法は、学生が正規移民への資格を得るフランスでの滞在期間を通常の10年ではなく、15年に定めていた。

雇用省と内務省が署名した通達は、この閉鎖的な方針との決別を意味する。最初の通達は、フランスで働くためにフランスへ入国したいと考える外国人が果たすべき手続きについて詳しく示すとともに、国の担当部局へ、志願者の技術的・商業的な関心からこれらの申請を判断するように求めている。「経済のグローバル化と激烈な競争の中で競争力を維持するために、フランス企業は外国人も採用できる必要がある」からだ。

もっぱら外国人学生の労働許可証を対象としている第2の通達は、在学中の雇用(やはりパートタイム職だけが許可される)のアクセスを助けるためにできる限りのことをすべきだというのだから、その意図は明瞭だ。申請数が大幅に増加することが予想されるために、労働許可証の交付期間は多くの場合に延長されたが、実際の手続きは簡素化されている。DDTEは申請を受け付けたら、学生が書類の審査を待つ間も働くことができるように、2カ月間限定の証明書を交付しなければならないし、労働許可証の更新の場合も、学生が労働を中断する必要がないように、迅速な決定を求めている。

学校修了後に働くことを望む学生に対しても、知事と当局に、「採用もしくは雇用契約を約束されている外国人学生が作成した身分変更申請書は好意的に審査することを求める」など、これまでとは一変した対応が要求されている。

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