IT技術者養成の試み

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年5月

ハノイ、ホーチミン市ではソフトウエア産業のハイテクパークを建設中、あるいは拡張中で、ハイテクパーク内では安価な高速インターネット利用が可能になっているほか、税制優遇措置などがとられている。これらのパークで働く労働者は今後、大幅に増加し、ソフトウエア製造や職業訓練の拠点となることが期待されている。ハイテクパークへの外国投資企業誘致にも熱心で、2002年2月上旬にクァンチュン・ソフトウエアパークで開催されたワークショップでは日本のIT企業32社からベトナムのIT環境について意見を聞いた。日本企業からは、ベトナム人若年労働者は勤勉で問題解決能力に優れているが経験や技能、外国語能力が不足している、ベトナムでソフトウエア産業を発展させるためにはなるべく早く産業育成に着手しなければならないといった意見が出された。日本のIT企業やソフトウエア産業界による出資を受け、ベトナム、日本のIT企業の指導によるIT技術者訓練を目的にした日越ポータル・プロジェクト(Portal Project)が開始されることになり、その皮切りとして日本での就労を希望するIT技術者および学生対象の日本語講座が2002年3月に開講され、この講座の最初の40名は無料で訓練を受講する予定である。

一方、ホーチミン市当局主催のプログラムにより、約1000人の若いITエンジニアがアメリカ合衆国およびカナダで3年間、職場における技能訓練を受けることになった。このプログラムに備えるため、参加するITエンジニアは既に北米で訓練を受けたIT専門家から指導を受ける。海外労働者派遣会社Suledo社が、プログラムに参加する候補者の選抜と訓練を担当する予定である。

ソフトウエア産業では管理者レベルの人材が不足していることが課題だが、インド人、中国人労働者に比べて賃金が低いため、ソフトウエア生産が発展する可能性が指摘されている。2000年に政府が発表したソフトウエア産業育成策によると、2005年までに5万人のIT技術者を養成し、そのうち、2万5000人は高度な技術を持ち、英語を話すことができるIT技術者を養成するとしている。インターネット接続料金が高いことがソフトウエア開発の障害になっているが、ファン・バン・カイ首相は、インターネット接続料金の引き下げを提唱しており、最近では、2003年までに研究機関、大学、職業訓練校におけるインターネット利用を拡大するとした決定を承認している。

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