2001年はジョスパン政権発足以来初の失業増加の年

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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ジョスパン政権は発足以来、1997年、1998年、1999年、2000年と、ほぼ切れ目なく失業統計を改善してきた。これまでにこれほどの長期にわたって失業を改善した政権は他に存在しない。しかし、失業減少傾向は2001年5月に終止符を打った。そして、1月31日に雇用省が発表した統計によると、2001年の失業者数は結局、2.2%(+4万7300人)の増加を記録した。

12月も求職者数は1万1300人の増加を記録。これで8カ月連続の増加となり、季節調整済みの数字は221万2100人(+0.5%)に達した。国立職業紹介所(ANPE)に登録しながら週に78時間以上働いていた者を加えると、求職者総数は261万3700人(対前月比+0.3%、対前年比+0.2%)に膨れ上がる。それでも、ILOの基準に基づいて計算された失業率は9%と前月から変わっていない。

労働市場は引き続き女性に有利に作用している。女性全体の失業者数は年間で1.6%減少したが、男性の方は6.3%増加している。この状況は製造業よりも雇用情勢が好転しているサービス業で働く女性の数が多いことが1つの大きな原因である。1年以上仕事がない長期失業者数は12月に0.5%増加したが、この数字は年間ではマイナス9.1%と大幅に改善した。しかし、25歳未満の若年者にとっての状況は厳しく、年間で失業者数は8.9%も上昇し、男子の場合は実に+18.2%が記録された。

政府は、12月の失業増が11月(+3万3000人)の3分の1にすぎず、経済的理由に基づく解雇は11月よりも1200人減少している(年間では38.2%も増えているが)と反論し、ギグー雇用相も「企業家は自信をいくらか取り戻しつつある」と発言したが、国立統計経済研究所(INSEE)は12月の景気概況の中で、「失業率は6月に9.2%のピークを迎えるまで上昇し続ける」と予測した。

雇用相も、「世界経済の減速化がまだ数カ月は失業統計に影響を与える可能性がある」と不安を認め、政府は雇用への影響を食い止めるために「最大限」の努力をすると述べている。

ジョスパン首相は大統領候補として、1997年6月の政権発足以来、92万5400人の失業者を削減し(-29.5%)、170万人の雇用を創出したと宣伝することができるだろう。過去5年間に雇用面でこれだけの実績を上げた国は西欧にはない。しかし、正式に選挙運動を開始する3月初旬にフランスが景気循環の底にあることを、首相は知っている。したがって、社会党は失業統計への言及に控えめにならざるをえない。オランド第1書記は1月31日に、出演したテレビ番組の中で、「失業の上昇は、わずかであても、耐え難いものだ」とし、選挙運動で最も強調するべき社会党の政策の1つは、「一部の労働者の資格と供給されるポストとの間のミスマッチを解消するために、労働者の職業訓練・再資格化プログラムを推進することだ」と明らかにした。

景気の持続的な回復が見込める2002年の下半期には、雇用市場が好転するとの見方で、多くの専門家たちの意見は一致している。大統領選の勝者は望ましい経済環境の中で、5年の任期を開始することになりそうだ。

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