2001年度の雇用における年齢差別申立8.7%増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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雇用機会均等委員会(EEOC)が2002年2月22日に公表した統計によると、2001年会計年度(2000年10月1日~2001年9月30日)に民間部門使用者を相手取った雇用における年齢差別申立件数が前年同期比8.7%増の1万7405件に達した。同会計年度における各種の雇用差別申立件数の総数は8万840件(1996年以降最高)で前年同期比1.2%増加している。この総数に占める年齢差別申立の割合は21.5%で、前年同期に比べ1.5ポイント増加している。同様に割合が増加しているのは、障害者差別(0.5ポイント増)、宗教上の差別(0.4ポイント増)、出身国による差別(0.1ポイント増)である。割合を0.4ポイント下げたものの、最大割合を占めているのは人種差別(35.8%:2万8912件)である。このうち、宗教、出身国による差別は同時多発テロ以降急増したと思われるが、その多くは次の年度の統計に反映される。

雇用における年齢差別の申立件数が増加した理由が、いくつか指摘されている。使用者側の弁護士は、景気後退により解雇される労働者が増える時には常に年齢差別申立が増えると述べている。EEOCのドミンゲス議長は、人口構成が高齢化していることが年齢差別や障害者差別申立件数増加の原因と考えている。労働者側の弁護士によると、引退時期を迎えようとしているベビーブーマーの多くが働き続けることを希望しており、使用者の不公正な抵抗に直面している。ベビーブーマーが年齢差別に対し、法的に争う傾向があることも指摘されている。

雇用における年齢差別法(ADEA)は、採用、解雇、昇進、年金、賃金など全ての局面で40歳以上の労働者に対する年齢差別を禁止している。実際には労働者が雇用差別について弁護士を立てて争っても、その主張が認められるためには入念な準備が必要とされる。労務を専門に担当する弁護士によると、年齢差別にあったという印象を受けただけでは不十分で、具体的に誰が自分よりも良い待遇を受けたか、あるいは、多くの中高年労働者が解雇される直前に多くの若年労働者を解雇の対象にならない役職に昇進したなどのパターンを指摘することが重要である。大量解雇の際には、解雇対象者の詳細を使用者が従業員に公表しなければならないため、使用者も明確な年齢差別のパターンを示さないようにする場合が多い。

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