化学労組、賃上げ要求5.5%決定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

2002年度の賃金協約交渉につき、IGメタルが昨年12月の5~7%の賃上げ要求決定(本誌2002年3月号Ⅰ参照)につづき、2002年1月28日に全連邦地域の統一賃上げ要求6.5%を正式に決定した翌29日、化学労組(IG BCE)では、シュモルト委員長を中心とする執行部が、60万人の化学産業労働者のための賃上げ要求5.5%を決定した。

化学労組は先のIGメタルの要求額と比べて1%要求を押えることで、ストも辞さない純然たる闘争姿勢を示すIGメタルとは一線を画したほか、ボーナスの一部を企業業績に結びつけることを認め、また、東独地域の賃金水準を西独地域と均衡させることを求めている。この点、IGメタルが6.5%の高額要求で使用者側から厳しい批判を受けただけでなく、連立政権内部からも不快感を露にされたのとは異なっている。また、企業業績と結びついた賃金部分を要求で認めている点は、IGメタルとは異なる独自の路線を行くものである。

もっとも、柔軟路線で知られるシュモルト委員長も、自らの考えを同労組内ですべて貫徹できたわけではなく、例えば、景気の不確定という要素に対処するために、賃金協約の有効期間を夏までとして、そのときの景気の回復状況から残りの期間を定めるという2段階方式は、同労組内でも過半数の賛成を得られず、結局要求としては通常の12カ月の有効期間に止まることになった(IGメタルでもこの2段階の協約期間の考えが取り沙汰されたが、結局否定された。)

シュモルト委員長は、5.5%要求の根拠として、現実的な妥結額を念頭に、要求額と妥結額の格差をできるだけ避けるべきことを挙げている。また、IGメタルが高い妥結額で内需と景気を刺激できるとしていることについて、世界経済の発展と輸出に依存している今日の状況からは妥当せず、このような論法は単純すぎると退けている。さらに同委員長は、IGメタルと労働総同盟(DGB)が最近新たにストの可能性を警告し、使用者側がベア回答ゼロを示唆し、互いに対決姿勢を強めていることに対して、このような姿勢は交渉にも妥当な結果の達成にも役立たないと、双方に自制を求めている。

他方、交渉相手の連邦化学使用者連盟(BAVC)は、化学労組がIGメタルなどと一線を画していることは認めながら、それでも5.5%の賃上げ要求は化学産業のおかれている状況との関連では高すぎるとしている。もっともフライ同連盟業務執行理事は、化学労組が企業業績と結びつけた賃金部分を認めていることを積極的に評価し、同連盟の目標と方向を同じくし、後は細部の交渉が問題になると述べている。

なお、化学産業の労使の本格交渉は3月4日に開始される。

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