MEDEFが大統領選挙戦に向け「政策提案」を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

フランス企業運動(MEDEF)は、1月15日にリヨンで臨時大会を開催し、企業人の声を政治に反映させるために、世論と大統領候補者へ向けて、9つの決議を採択した。セリエール会長は、「我々はいかなる政党も支持しないが、勝利するフランス、対話するフランス、改革するフランスを推進するために、我々の分析結果と提案を提供する」と述べている。だが、保守系の大統領候補(ジャック・シラク、フランソワ・バイルー、アラン・マドラン)の綱領を検討すれば、MEDEFが推進する考え方とかなり一致していることが明らかになる。

労使当事者の対話

MEDEFは労使対話を改善するために、法律的・制度的な新しい枠組みの創設を促す。団体交渉改善の方法と手段に関する協約に照らして、交渉の役割を強化し(労働法の大原則はまず団体交渉によるべきで、法律は協約が不在の場合にしか介入するべきでない)、新しい基準を確立することによって、企業交渉を奨励するべきである。

この他、中小企業の労使対話を促進するために、従業員から選ばれた代表が協約を締結できる可能性を拡大するとともに、強力で責任ある組合運動の出現を促進するために、代表制に関する新しい規則を検討し、職場選挙で1回目から無所属候補者を認めるべきである。また、MEDEFは労使間で締結された協約に国が介入することを禁止するべきだと考えている。

国との対話

MEDEFは企業と当局との間に真のパートナーシップを確立し、関係のある判断の全部に企業人を参加させる必要があると考える。MEDEFはまた、経済社会委員会を改革して、労使関係を民主化するべきだと望んでいる。

社会保障制度改革

我が国の社会保障制度の永続性はもはや保証されていないので、MEDEFは社会保障と退職年金も改革しなければならないと訴える。

フランスの社会保障制度設立の原則(連帯および普遍性)を守る必要があるが、MEDEFは加盟組織の自由な選択を可能にする新たな構造の医療保険を要求する。また、企業活動と直接的な関係を持たない医療費および家族経費は、一般社会保障税(CSG)型の拠出でまかなうべきだと考える。

保険料の引き上げもしくは給付の引き下げに訴えることなく、退職年金制度の支払能力を保証することが可能だと、MEDEFは考えている。また、拠出期間の調整を重視した2001年2月10日に労使間で締結された協約を重視し、退職年金を自由に設定できる単一の制度を支持している。MEDEFはいまひとつ、膨大な赤字を民間部門の労働者がまかなわなければならない公的年金制度を政府が抜本的に改革し、任意年金基金が創設されることを望んでいる。

職業訓練

MEDEFは職業訓練開発を緊急的な問題と考えている。若年者は最初の訓練水準がどれだけであろうとも、訓練付きの仕事にアクセスする可能性を与えられなければならない。その他に、各労働者は使用者と資格・能力開発計画を作成し、職業訓練貯蓄勘定を利用することができなければならない。いまひとつ、資格試験と資格の制度の厳格さを緩和するために、各労働者はその職業能力を有効と認めさせる可能性を与えられなければならない。

週35時間制

MEDEFはこの他に、労働者が望むだけ働けるようにするべきだと提案している。これは、労使当事者に労働時間編成を定める可能性を認めるための週35時間制の抜本的改正もしくは同法の廃止を想定している。

税制改革

MEDEFはまた、利益分配制度もしくは従業員株主制度の一般化を提唱するとともに、税制改革を主張している(職業税および給与税の廃止、企業と家計に対する直接税率の引き下げ、遺産および企業譲渡に関する税制改革)。

企業を社会の中心へ

MEDEFは、学校、大学、企業を接近させるために、そして研究の世界と企業の世界を接近させるために、あらゆる措置を講じるべきだと求めている。企業経営者は当局と協力して、持続的開発に取り組まなければならない。

公務員改革

MEDEFはさらに、公務員規則の改正によって、歳出を抑制できる非中央集権的(とりわけ、教育に関して)で効率的な国にするために、大幅な近代化を希望する。

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