技能と労働移動に関する上級特別委員会、報告書を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

技能と労働移動に関する上級特別委員会は2001年12月に報告書を公表し、その中で技能の向上に関する提言を行うとともに、依然としてEU域内において労働移動に対する障害が多すぎることを指摘している。

同上級特別委員会は、欧州労働市場における労働移動に対する障害を確認し、技能レベルの向上に必要な方策を探るために2001年6月に創設された(その経緯については本誌316号参照)。欧州委員会は、同報告書に基づき欧州労働市場に関する行動計画を押し進める予定である。

報告書の内容

報告書は主要な問題を究明し、数々の提言を行っている。その提言の主なものは以下の通りである。

・すべての学生は義務教育終了までに自国の言語に加え少なくともEU域内の2カ国語を習得すべきである。語学の習得は早い段階から始めるべきである。

・すべての人が読み書き能力、基本的計算能力、情報通信技術を含む基本的な技能を取得できるよう保障すべきである。

・高等教育のカリキュラムについてはその3分の1が、別のEU加盟国で履修されるべきである。

・企業による生涯学習と訓練への参加を強化すべきである。

・情報通信技術技能を明確化し、開発しなければならない。情報通信技術や関連職種への女性の参入を強化すべきである。

・人の自由移動や年金・社会保障に関する権利の調整についての規制を2004年までに改訂すべきである。EU全域にわたる社会保障カードも検討すべきである。

・非公式の学習を評価する基準や方法論を開発し、技能・能力・経験に対する認識・承認を向上させる必要がある。

・市民に様々な情報を提供するために2002年までに人の移動情報サイトを立ち上げるべきである。

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