EU労働時間指令、英では無力なのか、 6人に1人が48時間以上

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

イギリスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年4月

一週間の労働時間を48時間以内に制限することを定めたEU労働時間指令を導入したにもかかわらず、英国の労働時間は、6人に一人が48時間を超えていることが労働組合会議(TUC)の調べでわかった。従業員が「より短時間でより生産的に」なれるようより効率的な就業環境にすべきだとTUCは改善を求めている。

2月4日に公表されたTUCの調査によると、一週間の労働時間が48時間を超えている労働者の数は約400万人で、全体の16%。10年前の1992年と比較すると35万人多くなっている。男性が大半で、男性に限ってみると4人に一人が週48時間以上働いている。また週55時間以上(一週間毎日8時間働いた場合にほぼ相当)働いている男性は10に一人、さらに60時間以上は25人に一人いる。

EU加盟国と比較すると、EU全体の平均週労働時間が40.3時間であるのに対し、英国は43.6時間で最も長い。最も短いフランスは38.9時間である。フランスは国内法で週労働時間を35時間に制限しているが、フランス以外にも週労働時間を48時間より短く制限している加盟国は多く、オーストリア、フィンランド、ノルウェイ、ポルトガル、ベルギー、スペイン、スウェーデンは39?40時間に制限している。

職種別では、管理職と専門職の長時間労働が目立ち、225万人が48時間以上働いている。とくに管理職については5分の2以上(41%)が48時間以上働いている。

週48時間を上限とするEU労働時間指令を導入したにもかかわらず、これを超えて就労するケースが英国で目立っている要因について、TUCは同指令に含まれている「特別条項」を英国が採用している点を指摘している。

同指令の特別条項は、労働者が個別に合意すれば、週48時間を超えての就労を認めるものだが(本誌1998年6月号参照)、EUは同条項を来年2003年に見直したうえで英国の同条項の採用を認めなくなることが確実視されている。

2002年4月 イギリスの記事一覧

関連情報