大労組Amicus誕生、AEEUとMSFが合併

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

2002年1月1日、合同機械電気工組合(AEEU)と製造科学金融組合(MSF)が合併し、製造業部門の新労組Amicusが誕生した。組合員数は120万人で、130万人の公共部門労組ユニオンについで国内第2位、民間部門では最大の労組となる。

AEEUとMSFの今回の合併は2001年4月に両労組の組合員投票により合意されていた。ここ数年、製造業部門では人員削減が続いており、その波をくい止めるために合併して影響力を高める狙いがある。事実、合併によりAmicusは労働党最大の支持団体となり、また下院議員の約100人がAmicusの加入者であることになる。

合併の背景にはまた財政的な理由があることも指摘されている。組合加入者数の減少のため、とくに1980年代後半以降は、多くの労組が毎年、組合費収入を超える支出を強いられてきた。AEEUとMSFも例外ではなく、合併することで無駄なコストが省けるとの見方で一致したようだ。

新労組の代表は当面、AEEUのケン・ジャクソン書記長とMSFのロジャー・ライオンズが共同で務める。ジャクソン書記長は今回の合併について、これから起きるであろう労組の合併に道を開くものであると述べており、また今後10年間のうちに英国の労組は5つ程度に整理されるとの見通しを示した。

当面の課題としては、英国が単一通貨ユーロへ少しでも早く参加するよう政府に働きかけていくと述べている。企業が国境を越えて合併をおこなっているのに対応して、労組もEU横断的な合併を進める必要が生じており、その環境を整えるものとして書記長は英国のユーロ加盟を位置づけている。AEEUは2000年に一時、ドイツの大労組IGメタルとの合併を探っていた経緯がある。

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