2001年の労組組織率、前年と同じ13.5%

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

労働省の統計によれば、2001年の労組組織率は13.5%(前年と同じ)で、組合員数は約1630万人であった。比較可能な統計がある最初の年(1983年)には組織率が20.1%あったが、主に民間部門で組織率低下が進行している。

公共部門の組織率(37.4%)は、民間部門の組織率(9.0%)の約4倍である。公共部門では1983年以来、組織率がほとんど変化していない。公共部門の中でも、教師、消防士、警察官など、組織率が高いグループを多く含む市町村の自治体では、43.1%と組織率が最も高い。民間部門で組織率が高いのは、運輸業・公益事業(23.5%)、建設業(18.4%)、製造業(14.6%)などで、最も低いのは金融・保険・不動産業(2.1%)となっている。

職業別では、警備職(警察官・消防士など)が最も組織化されており(38.0%)、交通・運搬職(23.3%)、技能職(21.5%)などがそれに次ぐ。最も組織化されていないのは販売職(3.5%)である。 

性別では、男性15.1%、女性11.7%で83年以来、男性の組織率の方が高い。しかし男性の組織率がより急速に低下し、男女間の差は縮小している。人種では、黒人17.0%、白人13.1%、ヒスパニック11.3%となっている。中でも黒人男性の組織率は18.9%と最も高い。また、フルタイム従業員の組織率は14.9%でパートタイム従業員の組織率(6.9%)の2倍以上である。年齢では、45歳から54歳の年齢層で、他の年齢層よりも労働組合員の比率が高い。組織率は、25歳から34歳までが11.5%、35歳から44歳までが15.0%、45歳から54歳までが18.9%、55歳から64歳で17.2%となっている。

組織率が20%を上回っている州は、高い順にニューヨーク、ハワイ、アラスカ、ミシガンの4州で、5%未満の州はノース・カロライナとサウス・カロライナの2州である。1630万人の労働組合員の半分がカリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニアの6州に住んでいるが、これら6州の雇用者は全国の雇用者の35%に過ぎず、地域ごとで組織率に大きな差がある。南部諸州では組織率が全国平均を下回っている。

AFL-CIOによると、1996年以来7500人のオルガナイザーを採用、養成し、時には複数の労組が協力して組織化を進めてきた。例えば、2001年には国際ホテル・レストラン労組(HERE)が9000人を組織化、また国際サービス労組(SEIU)は8万1000人を組織化した。攻勢を強めるこれらの労組は、ゴミ収集者、医療労働者、清掃労働者など比較的低賃金の労働者を中心に組織化を進めたが、広報、ピケ、労組に理解を示す地元の政治家、ボイコット、ストなどを使い、全国労働関係局(NLRB)の代表選挙を避けて、使用者に圧力をかけて労組を受け入れさせるという戦略をとっていた。この戦略は他の労組にも影響を与え、アパレル・繊維業界では全米縫製・繊維労働組合(UNITE)が同様な手法で同様な成果を上げている。また、ミシガン州立大学、ニューヨーク州立大学の大学院生(教育助手)など若い労働者も組織化されつつある。概して、組織化が成功している分野は海外に生産現場を移転可能な工場よりも、主に低賃金労働者から成る国内のサービス産業であることが多く、労組もサービス産業を組織拡大を期待できる分野と考えている。

NLRBの代表選挙では、使用者が組織化を妨害することが多いが、毎年約3000の代表選挙のうち約半分の選挙で労組が組織化に成功している。コーネル大学のブロンフェンブレナー教授によると、労組への加入を希望する従業員に対し91%の使用者が反労組集会への参加を強制、80%の使用者が中間管理職に反労組活動トレーニング受講を義務づけている。また、80%の使用者が外部コンサルタントを雇って反労組キャンペーンを行い、31%の使用者が組織化活動中に労組加入を表明したという理由だけで違法な解雇を

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