香港で働くインドネシア人家政婦への需要急増
―各国政府が最低賃金カットに抗議

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

香港で就労する家政婦といえばフィリピン人が主流であるが、不景気のため、低賃金のインドネシア人家政婦の需要が急増しているという。

深刻な景気の低迷に悩む香港政府は2001年11月から外国人家政婦の最低賃金の引き下げを検討し始めているが、家政婦からの仕送りが重要な外貨獲得源となっているインドネシア、フィリピンやタイなどの母国政府が反対の意を表明している。

インドネシア人家政婦の需要が急増の要因は不景気による支出抑制

香港の現地紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、2001年にインドネシア人家政婦を雇用していた世帯数は1万3000世帯で、外国人家政婦の24%を占めるマジョリティーへ急成長を遂げた。2001年11月末までに香港に在住するインドネシア人家政婦6万8400人に対して、フィリピン人家政婦前年比3%減の15万5790人となっている。

近年香港では深刻な経済不況のため、今まで雇っていた外国人の家政婦をインドネシア人家政婦に代える家庭が増加しているという。というのも、多くのインドネシア人家政婦は外国人家政婦の最低賃金480米ドル以下、230~250米ドルの違法な賃金でも雇えるためである。他にもタイ人(約7000人)、スリランカ人などが住み込みの家政婦として働いている。

2001年9月の米テロ事件を契機に、香港の失業率も5.5%まで悪化し、外国人労働者の最低賃金の引き下げを検討する声が出てきた。香港政府は、2002年1月末までに最賃の5~20%の引き下げを行うことを予定していたが、フィリピン政府、インドネシア領事館、タイ領事館からそれぞれ、最賃引き下げを行わないようにとの要請が出された。

香港では、1999年にも外国人家政婦の最低賃金を495米ドルから480米ドルに引下げており、家政婦らは再びの引き下げに不安を抱いている。

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