産別協約被拘束企業、西独地域で初めて50%割る
金属業界の賃金協約交渉(第1記事参照)を間近に控えた2001年12月12日、連邦雇用庁に所属する労働市場・職業研究所(IAB)の調査結果が発表され、産業別労働協約に拘束される企業が、2000年度は西独地域でも始めて50%を割ったことが明らかになり、企業の産別協約離れの動きがさらに進んでいることが示された。
調査は1万4000の企業を対象として実施されたが、雇用者数に関しても拘束される人数は減少しており、産別協約に拘束される雇用者数は西独地域で62.8%で、1995年の72.2%と比べて約10ポイント減少した。東独地域では、西独地域と比べてもともと産別協約に拘束される雇用者数は少ないが、1996年に始まった調査時点(1995年は調査はなかった)の56.3%と比べてもやはり10ポイント以上減少しており、2000年度は45.5%だった。
調査を担当したエルランゲン・ニュールベルグ大学のクラウス・シュナーベル氏は、原因の一つは、特に従来から協約の拘束を受けない傾向のあるサービス業とIT部門で、企業の新規設立の波が進展していることだとしている。同氏は、産別協約の空洞化という言葉に現実的な背景があることが示されたとし、従来の中央からの規制のもとに組み立てられたシステムが大きな挑戦を受けていると述べている。
このような調査結果から、産業別労働協約の将来についての議論が労使間で新たに起きているが、同時に、IGメタルの高額な賃上げ要求等にも鑑み、賃金協約の拘束を受けない使用者団体(Arbeitgeberverbande ohne Tarifbindung; "OT")についての議論がまた出てきている。OTは、1996年に当時の金属連盟会長のヴェルナー・シュトゥムフェ氏の提唱でできた使用者同体で、賃金協約の拘束を望まない企業に、使用者団体から与えられる便宜を放棄することなしに、協約の拘束を免れさせることを意図しており、いろいろ論議はあるが、金属業界でもその後連邦規模で設立されている。
一方1Gメタルは、この調査結果に関連して、高額の貸金協約の締結が産別協約離れを起こしていることに疑問を呈し、むしろ産業構造がサービス業のはうに転換し、サービス業では製造業に比べて組合活動の条件が悪いことを挙げている。そして調査結果からも、サービス業で新規に設立された小企業が産別協約に距離をおくことが示されているとしている。ただ同労組も、協約離れに対処するために、賃金政策の差別化をもっと強化することが将来的に必要であることは認めている。
2002年3月 ドイツの記事一覧
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