長期化する鉄道スト

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

2002年の年明け早々の1月3-4日に、ロンドンで鉄道ストが起きた。その後も7-8日、28-29日に48時間ストが決行され、断続的にではあるが、長期化する様相が出てきた。

ストが起きているのは、ロンドンのウォータールー駅からイングランド南東部へ鉄道を運行しているサウス・ウエスト・トレイン(SWT)で、同社と対立しているのが、鉄道警備員や駅員からなる鉄道海上輸送労組(RMT)に所属している同社従業員。

RMTは昨年から、鉄道警備員、車掌、駅員の賃金について,人材不足で優遇されている運転士の賃金と同等に引き上げるよう要求してきたが、会社側が2度にわたって提示した昇給案を不服とし、今回のストとなった。

SWTの運行本数は1日に約1700本だが、1回目のスト時には200本、2回目では400本しか運行できず、利用者20万人の足に影響が出た。28~29日のストでは、管理職を警備員などの代替要員として動員したこともあって、通常の3分の1にあたる650本を運行したほか、代替輸送手段としてバス100台以上を運行させた。

SWTによると、RMTが2月12-13日に予告している4回目の48時間ストに備えて、すでに管理職100人以上が警備員などの代替要員としての訓練を済ませており、さらに通常の運行が可能になるまでスタッフを訓練していくと強気の姿勢を示している。また60名の欠員が出ている警備員について求人したところ、すでに3000人以上が応募しているとSWTは述べている。

一方、RMTは、SWTが管理職を警備員の代替要員にしていることについて、警備員として任を果たすには通常は8週間の訓練期間を要すると運輸当局から勧告されているにもかかわらず、SWTはわずか2日間しか訓練を与えておらず、乗客の安全をないがしろにしていると非難している。さらにRMTは、他の運行会社の従業員にスト実施を検討するよう指示を出していると伝えられており、各地に飛び火する可能性も出てきている。

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